ファイナンス 2022年5月号 No.678
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3 管内の名所〔吉野ヶ里歴史公園〕ファイナンス 2022 May. 77【プラットホームの立ち食いうどん】【駅弁売り(アイスクリームと冷凍みかん)】【新鳥栖駅】 〔配置売薬〕鳥栖「配置売薬」とは、医薬品販売の形態の一つであり、販売員が一般家庭等を訪問してかぜ薬や胃腸薬、膏薬などを預け置き、次回の訪問時に使用した分の代金を精算し、集金する仕組みのことです。ちなみに、この際に預け置かれる薬が一般的に「置き薬(おきぐすり)」と呼ばれています。鳥栖の田代地方は、富山・大和(奈良)・近江(滋賀)と並ぶ「四大配置売薬」の地として知られ、その歴史は江戸時代にまで遡ります。配置売薬の地として発展した理由として、四つの地方に共通しているのは、各地が江戸時代の街道の要衝に位置していたこともありますが、田代地方は、それに加えて対馬藩(現在の長崎県対馬市)の飛地であったため、領主の支配力が弱く、領域外の出入りが比較的容易であったことが影響していました。なお、田代地方は現在でもサロンパスで有名な久光製薬を始めとした医薬品製造業が盛んな地域であり、平成7年には「中冨記念くすり博物館」が開設され、配置売薬にまつわる資料が保存・公開されています。神埼市及び吉野ヶ里町にまたがる吉野ヶ里丘陵には、約二千年前の弥生時代の日本最大の環濠集落跡として、平成3年に国の特別史跡に指定された「吉野ヶ里遺跡」があります。この地域に人の定住が始まったのは、当時の有明海が、吉野ヶ里丘陵の南端付近まで広がっており、遺跡のある地点から2~3kmほどの距離にあったことから、有明海の特徴である日本最大の干満差(約6m)を利用した水運に優れていたことや干潮時に捕獲できる貝・カニといった食料が豊富に得られたことなどの好条件が揃っていたと考えられています。なお、吉野ヶ里遺跡は整備されて平成13年には、奈良・飛鳥に次ぐ全国2例目の国営歴史公園として開園し、園内には、弥生時代最大級の建物である主祭殿をはじめ竪穴式住居や物見櫓が復元されています。

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