ファイナンス 2022年5月号 No.678
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ファイナンス 2022 May. 43ウマングではアプリ上で様々なサービスの申請が可能デジロッカーではアプリ上で様々な証明書の閲覧が可能 (2)行政のデジタル化イ 「デジロッカー(DigiLocker)」デジロッカーは文書保管のためのプラットフォームです。ウマングで行った申請が受理され、個人番号カード、運転免許証、納税証明書等の書類が発行されると、デジロッカーを通じて国民に交付されます。当館の現地職員の話によれば、証明書類は紙で受け取ることもできますが、通常は紛失に備えて自宅に置いておくようで、外出先で提示が求められた場合は、アプリを通じて証明書を提示するとのことでした(例えば、街中で警官に呼び止められて運転免許証を提示する場合も、オンライン上の運転免許証で問題ありません)。このアプリの提供により、行政のデジタル化に加え、文書のペーパーレス化が進んだとも言われています。モディ首相が2014年に「デジタル・インディア」を発表した際の重点目標の1つが「行政のデジタル化」であり、国民が行政サービスを携帯端末で容易かつ効率的に利用できる国を実現することでした。ここでは数あるデジタル化の試みの中で、注目すべき4つの例をご紹介します。ア 「ウマング(UMANG)」ウマングは、各種行政サービスの申請・照会を携帯端末で行うことのできる、行政サービス申請プラットフォームです。ウマングでは、納税申告書の提出、個人番号(アダール)、運転免許証、パスポートの申請、年金積立基金の残高照会等、連邦政府・州政府・自治体の1400以上の行政サービスの申請・照会に対応しています。ポータルサイトは13の言語で提供され(今後10の言語が追加される見通し)、毎日10時から18時まで顧客サポートを受けることができますので、農村部の住民にも利用しやすい仕組みとなっています。日本では異なる役所・機関に足を運び、行政サービスの申請を行うことが一般的ですが、インドではウマングを通じて行政申請の一元化・オンライン化が実現されました。

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