ファイナンス 2022年5月号 No.678
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ファイナンス 2022 May. 41当地チャイ・ブランド店Chaayos (米国発某コーヒーチェーン店と類似の白と緑のカラーが特徴)図1:コロナ新規感染者数の推移(7日平均)図2:コロナ新規死者数の推移(7日平均)第二波第一波筆者赴任全土ロックダウン第一波第三波第二波第三波*2) さらに2022年1月3日より15〜18歳を対象とした1・2回目接種、同月10日より医療従事者及び前線労働者、既往症があり医師の助言を受けた60歳以上の者へのブースター接種が開始されています。また、3月16日より12歳から14歳までの者に対するワクチン接種及び60歳以上の者へのブースター接種、4月10日より18歳以上の者へのブースター接種が開始されています。なお、いずれの措置についても、外国人も同様に対象となります。*3) 2021年9月にデリー準州で行われた約2万8千人を対象とした大規模抗体調査では、9割以上の人から抗体が検出されました。そんな国民に愛されるチャイですが、実はモディ首相も昔チャイ売りをしていたことがあります。少年時代、グジャラート州の鉄道駅で茶屋を営む父親を手伝い、駅や列車の車内で父親が作ったチャイを販売していたそうです。今では、当時の経験をもとに、自分は庶民の苦しさが理解できる、と発言しているようですが、それほどまでにチャイ売りは庶民の生活には欠かせないものなのです。最近では、香辛料を自分で選んで「マイ・チャイ」を作ることのできる当地ブランドが現れ、値段は若干高い(100ルピー程度)ものの人気を博しています。(出典)Johns Hopkins University CSSE COVID-19 Data(3)ワクチン接種の拡大による感染被害の抑制モディ首相は、コロナ対策として国民へのワクチン接種の普及を最重視しました。インドでは、2021年1月16日より公的ワクチン接種プログラムが開始され、医療従事者、前線労働者、高齢者の順に段階的に接種が行われ、4月1日より45歳以上の者、5月1日より18歳以上の者に接種対象が拡大されました*2。国民は公的接種会場において無料で接種することが可能なほか、私立病院等において有料で接種を受けることも可能です。当初は、州政府を中心にワクチンが供給されていましたが、普及が遅いと見るや、中央政府が国内で製造されるワクチンの75%を購入し(残りの25%は民間病院の枠)、州政府に無償で提供するといった中央政府主導のワクチン供給方針に転換するなど、インドのワクチン接種の拡大は主に中央政府主導で進められました。その結果、2022年5月1日時点での累計接種回数は約19億回(少なくとも1回目接種完了者の割合は73%、2回接種完了者は63%)となっています。こうした経験を経て、インドでは多くの国民が抗体を保有する状況となり*3、2022年1月にオミクロン株による「第三波」と呼ばれる激しい感染拡大が発生した際には、「第二波」と比べて感染者一人当たりの死者数は極めて少なく、インド政府の中ではワクチン接種の拡大により感染被害の抑制に成功したと言われています。コラム2チャイから見るインドインドを代表する飲み物がチャイ(Chai:インド式の甘いミルクティー)です。インドでは街中どこにでもチャイの屋台があり、安いところでは15ルピー(24円)程で飲むことができますが、チャイにはシナモン、カーダモン、クローブ、マサラ等様々な香辛料が含まれており、店によって味が微妙に異なるのが魅力となっています。

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