ファイナンス 2022年5月号 No.678
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7今般の改正内容では、今回の改正内容について、簡単に解説してお 28 ファイナンス 2022 May.(2)戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和27年法律第127号)第5条(援護の種類)に規定する障害年金、遺族年金及び遺族給与金きたい。今回の改正は、年金担保貸付制度の新規の申込受付終了と併せ、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第40号)によって行われた。施行日は令和4年4月1日である。ただし、年金担保貸付制度と異なり、恩給担保貸付については、一部の者について引き続き対象とするよう改正しており、その点が最大のポイントである。具体的には、まず恩給担保法においては、その第2条第1項において、恩給担保貸付の対象となる「恩給等」について、下記のものに限定する形で改正を行っている。(1)恩給法(大正12年法律第48号)その他の法令に規定する恩給で年金として給されるもの加えて、恩給を給すべきものとされた公務員として在職した期間を有する者に係るものについても、引き続き、恩給担保貸付の対象となるよう改正を行っている。具体的には、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)附則第122条を改正し、恩給担保法第2条第1項の「恩給等」とみなされる年金について、「恩給公務員期間」を有する者に係るものに限るよう改正を行っている。なお、恩給公務員期間とは、具体的には下記のとおりである。・国家公務員にあっては、国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和33年法律第129号。以下「国共済施行法」という。)第2条第10号に規定する恩給公務員期間。・地方公務員にあっては、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和37年法律第153号。以下「地共済施行法」という。)第2条第1項第33号に規定する恩給公務員期間。○国共済施行法(抄)(定義)第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一~九 (略)十 恩給公務員期間 恩給公務員、従前の宮内官の恩給規程による宮内職員、恩給法第八十四条に掲げる法令の規定により恩給、退隠料その他これらに準ずるものを給すべきものとされていた公務員その他法令の規定により恩給を給すべきものとされた公務員として在職した期間(法令の規定により恩給を給すべきものとされた公務員として在職するものとみなされる期間、恩給につき在職年月数に通算される期間及び在職年の計算上恩給公務員としての在職年月数に加えられる期間を含む。)をいう。十一~十四 (略)○地共済施行法(抄)(定義)第二条 この法律(第十三章を除く。)において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一~三十二 (略)三十三 恩給公務員期間 恩給公務員、従前の宮内官の恩給規程による宮内職員、恩給法第八十四条に掲げる法令の規定により恩給、退隠料その他これらに準ずるものを給すべきものとされていた公務員その他法令の規定により恩給を給すべきものとされた公務員として在職した期間(法令の規定により恩給を給すべきものとされた公務員として在職するものとみなされる期間、恩給につき在職年月数に通算される期間及び在職年の計算上恩給公務員としての在職年月数に加えられる期間を含む。)をいう。三十四~四十二 (略)2・3 (略)そして、当該期間を有する者に係るものが想定されないもの(いわゆる農林年金や私学共済年金)については、恩給担保法において恩給等とみなすとした根拠規定を削除する等の措置を行っているものである。この改正の考え方は、概して言えば、国家補償としての性格等を有する恩給等については、相互扶助の精神に基づき保険数理の原則により運営される公的年金

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