ファイナンス 2022年5月号 No.678
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[5]. 服部孝洋(2022b)「米国MMF(マネー・マーケット・ファンド)入門−ホールセール・ファンディングと金融危機以降の規制改革について−」『ファイナンス』4月号、28−37.[6]. 木下智博(2018)「金融危機と対峙する『最後の貸し手』中央銀行:破綻処理を促す新たな発動原則の提言:バジョットを超えて」勁草書房[17]. Carlson, M. and Macchiavelli, M(2021).「Primary markets for short-term debt and the stabilizing effects of the PDCF」FEDS Notes. Washington:Board of Governors of the Federal Reserve System.5おわりに本稿では、FF市場の基礎的な内容について説明をしました。米国における中央銀行の制度や金融危機時の対応の詳細を知りたい読者はぜひバーナンキ(2012, 2015)を参照してください。また米国における最後の貸し手機能について詳細を知りたい読者は木下(2018)をご参照ください。[7]. 木下智博(2020)「復活した『最後の貸し手』FRB」『追手門[13]. アラン・ブラインダー(1999)「金融政策の理論と実践」東[14]. アラン・ブラインダー(2008)「中央銀行の『静かなる革命』参考文献[1]. 石田良・服部孝洋(2020)「日本国債入門−ダッチ方式とコンベンショナル方式を中心とした入札(オークション)制度と学術研究の紹介」PRI Discussion Paper Series(No.20A-06).[2]. 服部孝洋(2019)「イールドカーブ(金利の期間構造)の決定要因について―日本国債を中心とした学術論文のサーベイ―」ファイナンス10月号、41–52.[3]. 服部孝洋(2021)「リスク・フリー・レート(RFR)入門−TONA,TORF,OISを中心に−」『ファイナンス』12月号、14−24.[4]. 服部孝洋(2022a)「SOFR(担保付翌日物調達金利)入門−米国のリスク・フリー・レートおよび米国レポ市場について−」『ファイナンス』3月号、28−37.経済論集』第55巻第1号[8]. 田中隆之(2014)「アメリカ連邦準備制度(FRS)の金融政策」きんざい[9]. ダロン・アセモグル, デヴィッド・レイブソン, ジョン・リスト(2019)「マクロ経済学」東洋経済新報社[10]. ベン・バーナンキ(2012)「連邦準備制度と金融危機」一灯舎[11]. ベン・バーナンキ(2015)「危機と決断 前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録」角川書店[12]. ヘンリー・ポールソン(2010)「ポールソン回顧録」日本経済新聞出版洋経済新報社―金融政策が直面する3つの課題」日本経済新聞出版[15]. ペリー・メーリング(2021)「21世紀のロンバード街」東洋経済新報社[16]. Afonso, G., Logan, L., Martin, A., Riordan, W., Zobel, P.(2022)「How the Fedʼs Overnight Reverse Repo Facility Works」Federal Reserve Bank of New York Liberty Street Economics.[18]. Martin, A. and McLaughlin, S.(2021)「COVID Response:The Primary Dealer Credit Facility」FRB of New York Staff Report No. 981.[19]. McGowan, J. and Nosal, E(2020)「How Did the Fed Funds Market Change When Excess Reserves Were Abundant?」Economic Policy Review 26(1)[20]. Swanson, E.(2022)「The Federal Funds Market, Pre- and Post-2008」NBER Working Paper 29762.[21]. Walsh, C.(2017)「Monetary Theory and Policy, fourth edition」The MIT Pressフェデラル・ファンド(FF)市場およびFFレート(FF金利)入門*42) レポにおいて担保として出す場合、その安全性に応じて掛け目が掛けられます。例えば安全性が低い資産の場合だと、100円の価格がついている資*43) 例えば、「Former Fed Staffer:Standing Repo Facility Suffering From Stigma」(Wall Street Journal, 2022/2/23)を参照してください。るとされています(ダッチ方式については石田・服部(2020)を参照してください)。なお、本稿ではPDCFの説明をしましたが、FRBは「ターム物証券貸出ファシリティ(Term Securities Lending Facility, TSLF)」を2008年3月11日に導入しており、これがいわばFRBが行った最初の投資銀行への措置といえます。これはプライマリー・ディーラーが有する非流動性資産を28日間、国債などに交換するオペレーションです。当時、金融危機時に民間セクターが資産担保証券(ABS)などを担保として受け入れなくなったことやヘアカット*42が上昇したことに伴い、プライマリー・ディーラーは資金調達が困難になっていました。そこで、それらの資産を担保に、資金調達の担保として使える米国債を貸し出すことで、プライマリー・ディーラーの資金調達をサポートすることを企図していました。金融危機時に導入した各ファシリティの学術研究の評価については木下(2018)の第4章に記載があるため関心がある読者は参照していただければ幸いです。産を担保として出しても80円しか借りられないということが起こります。*42 20 ファイナンス 2022 May.SRFが導入された背景には、投資銀行が四半期末や規制等を要因にファンディングが困難になったことから、2019年の秋にレポ・レートが急騰したことがあります。筆者が記載した「SOFR入門」でも投資銀行を軸に議論を展開しましたが、レポ市場の主軸として投資銀行の存在が看過できません。そこで、前述のようなスタンディング・ファシリティをプライマリー・ディーラーにも開放することでレポ市場の安定化を図っていると解釈することもできます。もっとも、SRFについてもスティグマが指摘されており*43、FFレートやレポ・レートの上限として連銀貸出が機能するかはどの程度これらのファシリティを金融機関が用いるかにも依存するといえましょう。次回はFF金利先物の制度や利上げ確率の考え方を説明します。

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