ファイナンス 2022年5月号 No.678
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●安全・安心な社会を実現する●適正かつ公平に関税等を徴収する●貿易の円滑を進めるファイナンス 2022 May. 7従来、沖縄では各種の土産品が非課税又は低税率となっていて、本土に比べて値段が安く、本土へ入国する際には携帯品免税が認められ、観光客にとってショッピングは大きな魅力であったことから、沖縄旅行の魅力を維持するため観光戻税制度が設けられた。具体的な品名、限度額等は次のとおりであった。沖縄県の区域から当該区域以外の本邦の地域へ出域をする旅客が、個人的用途に供するため、20万円以下の範囲内で、沖縄地区税関長の承認を受けた小売業者から購入した物品であって、内閣総理大臣が指定した旅客ターミナル施設等において引渡しを受ける物品の関税を免除する。品名牛肉バター脱脂粉乳ホップこんにゃく品名ハム及びベーコンバナナオレンジランチョンミート品名ウイスキー及びブランデー腕時計香水喫煙用ライター万年筆革製ハンドバッグ身辺用細貨類さんご、ぞうげ及びべっこう製品本土25%45%15%5%40%本土沖縄県における産業及び貿易の振興に資するため、国際物流拠点産業の集積を図る地域として、沖縄振興特別措置法に基づき、沖縄県知事が「国際物流拠点産業集積計画」の中で定めている。域内立地企業は、一定の条件下で、税制上の優遇措置や関税の選択課税、保税地域許可手数料の軽減、助成制度などの優遇措置が整備されている。東西 1,000km南北 400km島しょ 160島(無人 111島)大型監視艇「しまかぜ」(38 m艇)那覇港に配備 column沖縄地区税関の取組テロ対策強化と広大な管轄区域の取締強化沖縄では、米軍関係施設が沖縄本島の約15%の面積を占める。国際的には米国人・米国施設がテロのターゲットとされることが多く、万が一、テロが実行されると隣接する県民も被害を受ける。そこで沖縄地区税関ではテロ対策を強化している。たとえば、東京オリパラ開催時は、商業貨物、国際郵便物に重きを置いた取締強化(マンパワー投入)を実施した。また、大規模イベント開催等がない平時においても常にテロ対策を念頭に体制強化が不可欠。また、広大な管轄区域の取締を強化するため、監視艇2艇を活用した洋上取締り等を実施している。製造用原料品の減免税の税率の比較(主なもの)消費生活物資の減免税の比較(主なもの)観光戻税沖縄5%5%5%無税無税沖縄5%5%5%5%15%~25%30%20%~40%25%限度額3本3個(4万円以下)2オンス小売価格合計65,000小売価格合計65,000小売価格合計65,000小売価格合計65,000小売価格合計65,000大型監視艇「さきしま」(37 m艇)石垣港に配備洋上・離島・不開港の取締り税関の3つの使命発足50年という節目に新しい「挑戦」復帰直後の制度現在の制度特定免税店制度国際物流拠点産業集積地域我が国及び各国経済、社会活動のグローバル化が進み、人や物が国境を越えて活発に移動している今日、税関は、水際における不正薬物・銃器等の取締り等を通じた国民の安全・安心の確保、関税・消費税等の賦課徴収及び税関手続きの迅速化などによる貿易の円滑化、さらには世界貿易の健全な発展に向けた取り組みなど、国際社会の中で重要な役割を担っている。税関の3つの使命の実現を胸に、国民の皆さまの負託に応えるためには組織力の強化と体制整備の促進が必要不可欠であり、職員のモチベーション向上の観点から新名称を沖縄税関(仮称)として、地区税関からの昇格を目指す挑戦をしている。

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