ファイナンス 2022年5月号 No.678
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▲沖縄地区税関の開所式の様子1894年(明治27年)5月長崎税関那覇出張所設置(明32年6月支署に昇格)1943年(昭和18年)11月税関官制廃止(税関と海務局を統合し海運局を設置)戦後~米国統下 琉球税関は、日本本土との輸出入事務も担当1951年(昭和26年)7月琉球税関設置1965年(昭和40年)8月琉球税関が那覇税関、泊税関、那覇空港税関に分立本土復帰後 沖縄県の発展とともに歩む50年間1972年(昭和47年)5月沖縄本土復帰に伴い沖縄地区税関が発足1975年(昭和50年)2月海洋博覧会出張所設置(1976年7月廃止)1989年(平成元年)7月那覇自由貿易地域出張所設置(2012年4月鏡水出張所に改称)1994年(平成6年)7月石垣出張所が支署に昇格し、平良出張所及び与那国監視署を管轄1996年(平成8年)7月沖縄地区税関、NACCS稼働2007年(平成19年)7月大型監視艇「さきしま」石垣税関支署に配備2017年(平成29年)7月石垣空港を税関空港指定2018年(平成30年)7月石垣税関支署石垣空港出張所設置2021年(令和3年)7月4部体制確立(総務部、監視部、業務部、調査部)明治~戦前 沖縄県は長崎税関の管轄1886年(明治19年)3月長崎税関内離(うちばなり)出張所設置(明治22年閉鎖)復帰前、アメリカ統治下にあった沖縄は本土と異なる関税制度や関税率を有し、従来沖縄で輸入される場合には非課税または比較的低税率であった物品が、復帰に伴って新たに課税されまたは従来より高い関税率となる場合が発生し、これについて何らかの措置も講じない場合には、沖縄の経済や消費生活に大きな混乱を招く恐れがあったため、「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和46年法律第129号)が制定され、その後おおむね5年を期限とし、見直しされていった。※沖縄における税関の始まり沖縄地区税関、第1号麻薬探知犬配備沖縄における税関の歴史沖縄地区税関沖縄の本土復帰と同時に全国で9番目の税関として発足。 最西端における税関行政の任に当たる 6 ファイナンス 2022 May.「長崎税関沿革氏史」によると、沖縄に税関が誕生したのは明治19年。八重山西表の内離島から石炭の輸出が認められたことから、同島の船浮港に面したところに長崎税関内離出張所が設置されたものの、3年9か月で閉鎖された。明治27年には、那覇港において清国貿易が許可されたことにより、税関業務を処理するため那覇港に長崎税関那覇税関出張所が設置された。その後明治30年6月に行われた税関官制の改正によって、長崎税関那覇税関支署に改称された。その後太平洋戦争終結後、米軍は米国軍政府の樹立と日本政府のすべての行政権及び司法権の停止を宣言。続いて同年11月、沖縄諸島を除く北緯30度以南の南西諸島における日本国政府の全ての権限を停止した。昭和25年9月、沖縄群島アメリカ民政府法務部に税関移民局が新設された。これが戦後沖縄における税関機構の始まりとなった。そして、昭和26年7月1日、税関事務がアメリカ政府から琉球臨時中央政府財政局に移管されると同時に、「琉球税関」が発足した。米軍統治下の沖縄では日本本土との輸出入貨物の取締りも税関の業務であった。昭和27年以降、琉球税関は幾多の機構改革を経て、那覇、泊、那覇空港の三つの税関に分離され、その体制は本土復帰まで続いた。そして昭和47年5月15日、沖縄の本土復帰とともに「沖縄地区税関」が全国で9番目の税関として設置され、わが国最西端における税関行政の任に当たることとなった。沖縄県には沖縄振興特別措置法に基づく沖縄独自の関税関係特別措置があり、沖縄県経済の発展に大きく寄与している。この措置には以下の制度がある。関税等に関する特別措置石炭の輸出開始とともに 明治19年に初めて税関が誕生地方活性化への貢献

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