ファイナンス 2022年4月号 No.677
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三条地域で作られている製品ノーベルカトラリー燕三条(2)燕地域の産業(1)ラーメン5 燕三条地域のグルメ中には、その技術が買われ、国からの命令を受け、軍用品の生産も請け負っていたそうです。戦後以降は、ニッパーなどの作業工具、自動車関係の部品、包丁などの打刃物が三条地域の産業の中心をなしており、さらに現在は金属加工の技術を生かし、樹脂加工への進出も行われています。同地域で作られた打刃物は「越後三条打刃物」と呼ばれ、平成21年4月には経済産業大臣から、伝統的工芸品の指定を受けています。また、三条は商人の街でもあったことから、燕三条地域で作られた製品を三条商人が全国へ行商して歩き、その際に販売先から商品の要望を聞いたり、遠方の商品を持ち帰ってきたりすることで地元の鍛冶屋が新たな商品の開発や需要の情報を掴むきっかけにもなり、三条商人は、燕三条地域の産業を支え、また発展させる存在でもありました。同地域からは、今や世界的に有名なアウトドア製品を扱う会社や全国展開するホームセンターの会社も創業しています。燕地域では、1700年代から弥彦山の麓に開かれた間瀬銅山で採取された銅を原料とした「鎚起銅器」、「ヤスリ」や「煙管」などの製造が発展し、明治後期から金属洋食器の製造が始まり、第一次世界大戦を契機に、外国から金属洋食器の注文が寄せられるようになりました。長い間培った高度な金属加工技術をもとに、金属洋食器の大量生産化に成功して、第二次世界大戦後は、ステンレス加工技術の発達などにより、金属ハウスウェア産業が誕生し、現在では、ありとあらゆる金属製品を生産しています。新潟県は、金属洋食器の出荷額が全国1位(平成30年時点)であり、その約9割がここ燕地域で製造されています。毎年行われるノーベル賞授賞式後の晩餐会で使用される金属洋食器は同地域で製造されたものです。昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックの選手村の食堂にも提供されました。また新型コロナウイルスワクチン用の運搬・保冷庫や昨年マスターズゴルフで優勝した松山英樹選手が使用するゴルフクラブ(アイアン)のヘッドを製造しているのもこの地域の工場です。ラーメン王国とも呼ばれている新潟県。燕三条地域では新潟5大ラーメン※のうち、「背脂ラーメン」と「カレーラーメン」の2種類を食べることが出来ます。諸説ありますが、この2つのラーメンは、燕三条地域を国内での発祥の地、あるいは普及の地とする意見があり、数多くの店舗が軒を連ね、そしてその背景には地場産業が深く関わっています。背脂ラーメンは、この地域で夜遅くまで働く工場の職人のために誕生したとされています。汗をかき、塩分を欲する体に染み渡るよう、少ししょっぱいスープがベースであり、その上に背脂をふんだんにかけることでスープを冷めにくくさせ、出前をしても伸びづら

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