ファイナンス 2022年4月号 No.677
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*2) Helfand et al. (2022)の他にも、進化学的に近いウイルスとの比較研究を行ったTownsend et al. (2021)は、地方流行下で再感染の起きる期間は抗体反応のピークより3か月から5.1年の間(中央値16か月)であり、他のウイルスに比して半分以下となっていることを指摘している。PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 6(1.3)労働市場(経済・グループ別)(出所)IMF(2021)より引用。(1-1)は“Figure1.2DriversofGlobalGrowth”(p.2),(1-2)は“Figure1.3GlobalActivityIndicators”(p.2),(1-3)は“Figure1.7LaborMarketsbyEconomyandWorkerGroups”(p.8)に対応。図1 世界経済の状況(1.1)経済成長の推進要因(1.2)経済活動指標経済の状況染確認例の40.5%が無症状感染であったことが判明している。また、再感染についても研究が蓄積*2されており、Helfand et al. (2022)のまとめた18の研究における再感染のリスクは0-2.2%の範囲にあった。また、野生株とアルファ株について、最近の感染者と未接種・未感染者とを比較すると、症候性感染の80-98%が予防されていた。変異頻度と変異株の置換、治療・免疫効果の変化、無症状感染・再感染などのSARS-CovV-2の特性により、COVID-19の大流行は長期化している。特に、強い感染力は対面交流を大きく制約しており、感染の長期化は経済に甚大な影響を与えている。ここでは、国際通貨基金(IMF)が発行する『世界経済見通し』を通じて、COVID-19の世界経済への影響を概観する。(図1-1)は、世界の経済活動の約8割を占める地域におけるGDPの四半期毎の成長率と需要面の寄与を図示したものである。COVID-19の大流行を受け、2020年第1四半期は消費と投資、第2四半期においては消費を中心にGDPの下落が見られた後、感染症への経済活動の適応と政策的対応とにより、2020年第3四半期以降は、GDPは予想より大きく改善した。しかし、2021年第2四半期以降、新興市場における感染拡大と供給停止により、回復の勢いは衰えた。需要面では、投資の弱さが下押し要因となっていることが分かる。(図1-2)は、2018年度以降の様々な経済活動の指標を示している。感染拡大により、2020年第2四半期にかけて各種指標は大きな落込みを見せている。2020年第3四半期での回復もGDPと同様であるが、サービス業PMIの回復が遅滞した。回復基調はその後2021年第2四半期にかけて各部門に拡大したが、第3四半期以降はやや減衰している。(図1-3)は、雇

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