ファイナンス 2022年4月号 No.677
72/102

講師略歴星野 佳路(ほしの よしはる)星野リゾート代表慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。1991年、星野温泉旅館(現・星野リゾート)代表に就任。自社のリゾート施設を運営するほか、経営が破綻した大型リゾート施設などの再生にも着手。2003年、国土交通省から第一回観光カリスマに選定される。著書に『星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント』(日経BP)など。職員トップセミナー 方は観光業界から話を聞いて民泊に反対だという方も多いのですが、実は民泊をOKした途端に外食産業、地方の観光地のお土産屋さん、水道ガス、ガイドさんなどみんなが潤います。ですから、世界のスタンダードになっているもの、ITテクノロジーが変えていこうとしているものについては、日本も導入していったほうがいいですし、ないとかえって不自然になるので、早く導入を進めていくべきだと思います。次はライドシェアですが、これは世界で大事なサービスになり始めています。いわゆる白タクです。私が強調したいのは、東京駅や渋谷駅や長野駅などタクシーが待っている大きな駅ではライドシェアを導入する必要はありませんが、ローカル線の駅でタクシーが待っていないところにライドシェアを導入してはどうかということです。タクシーが待っていないローカル線の駅にこのサービスがあると、駅前の商店街の人たちが副業として、駅からホテルまで車でお客様を連れていき、合法的に謝礼を支払うことができます。これが世界のスタンダードになっていますので、こうした駅に限定してライドシェアを許可していけばよいのではないかと思うのです。日本のローカル線は経営がうまくいっていなところが多くありますが、ライドシェアを導入すれば、ローカル線の駅の利用価値が高まり、東京から来る若者たち、世界からやってくる若者たちにとって利用しやすい観光拠点になります。ローカル線の無人駅から、地方の活性化のためにシェアリングエコノミーやITテクノロジーのパワーをいち早く呼び込んでいくことができたらいいな、と思います。

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る