ファイナンス 2022年4月号 No.677
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2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年(出所)トルコ中銀(出所)トルコ中銀(出所)トルコ中銀【図表4】全預金に占める外貨預金の比率70%65%60%55%50%45%40%35%30%200▲200▲400▲600▲80020110リラ建て貸出31.1外貨建て貸出20.5その他資産48.4資産金以外の収支2012201320142015201659.0%リラ建て預金22.2外貨建て預金36.7その他負債・資本41.1負債・資本金の収支経常収支2017201820192020(出所)トルコ財務省-0.7-1.8-1.5-1.4-1.3-3.4201120122010(出所)IMFリラ建てドル建てユーロ建て円建てその他(SDR等)8.31.620112012201320142015201620172018201920202021-2.3-2.220132014201520162017-3.8-5.6-5.320202019201813.742.434.0(2)金の輸入と経常収支(3)財政収支と対外債務経常収支赤字が継続していることから、トルコは対外純債務国であり、IMFによれば、2020年の純債務残高は3850億ドルで、米国、スペイン、フランス、インド、ブラジルらと共に純債務国の世界TOP10に名を連ねている。純債務残高の対GDP比は56%となっており、多大な対外債務残高は慢性的な経常赤字、高インフレと並んでトルコ経済の構造的課題となっている。トルコでは経常赤字に加え、財政赤字も継続している。財政赤字の対GDP比は増加傾向にあるが、債務残高の水準自体は、2021年末の中央政府の債務残高の対GDP比は38%であり「他国と比して低水準」(IMF4条協議報告書)と評価されている。【図表7】【図表7】財政収支の対GDP比(%)10-1-2-3-4-5-6問題になるのは、債務残高に占める外貨建て債務の割合である。過去10年で外貨建て債務の割合は約30%から2021年末で約60%超まで上昇しており、通貨安により利払い負担が増加することになる。【図表8】【図表8】中央政府債務残高の通貨構成比(%)1009080706050403020100外貨建てで預金を受け入れるトルコの銀行は、資産・負債の間の通貨のミスマッチを防ぐ観点もあり、貸出も4割が外貨建で実行されている(2021年末)。国内で外国通貨による資金循環が生じていることになる。【図表5】【図表5】トルコの銀行部門のバランスシート(2021年末時点)100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%トルコ国民による資産防衛の帰結は経常収支にも表れている。そもそも、資源輸入国であるトルコの経常収支は慢性的に赤字であり、潜在的な通貨安圧力となっていた。近年の経常収支の内訳を見ると、経常赤字の大きな部分、2020年については半分超について、金の収支赤字が占めている。通貨安やインフレへの懸念から、国民が現物資産である金を選好していることを背景に、金の輸入が増加し、経常収支赤字を継続させる構図となっている。【図表6】【図表6】経常収支と金の収支(億ドル)

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