ファイナンス 2022年4月号 No.677
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[7]. 服部孝洋(2022)「SOFR(担保付翌日物調達金利)入門−米国のリスク・フリー・レートおよび米国レポ市場について−」『ファイナンス』3月号、28–37.[8]. ニール・アーウィン(2014)「マネーの支配者:経済危機に[11]. ヒュン・ソン・シン(2015)「リスクと流動性:金融安定性[5]. 服部孝洋(2021a)「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)入門―バーゼル規制からみた金利リスクと日本国債について―」『ファイナンス』6月号、60–69.[6]. 服部孝洋(2021b)「金利指標改革入門―店頭(OTC)市場とLIBOR不正操作問題について―」『ファイナンス』11月号、10–19.立ち向かう中央銀行総裁たちの闘い」早川書房[9]. アナト・アドマティ, マルティン・ヘルビッヒ(2014)「銀行は裸の王様である」東洋経済新報社[10]. ジョン・アーマー, ダン・オーレイ, ポール・デイヴィス, ルカ・エンリケス, ジェフリー・ゴードン, コリン・メイヤー, ジェニファー・ペイン(2020)「金融規制の原則」きんざいの新しい経済学」東洋経済新報社[12]. ベン・バーナンキ(2012)「連邦準備制度と金融危機」一灯舎[13]. ベン・バーナンキ(2015)「危機と決断 前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録」角川書店[14]. ジョセフ・ノセラ(1997)「アメリカ金融革命の群像」野村総合研究所情報リソース部[15]. Acharya, V., Schnabl, P., Suareze, G.(2013)“Securitization without risk transfer” Journal of Financial Economics 107(3), 250−269.[16]. Cipriani, M., La Spada, G.(2021)“Investorsʼ Appetite for Money-Like Assets:The Money Market Fund Industry after the 2014 Regulatory Reform” Journal of Financial Economics 140(1), 250−269.[17]. Mishkin, F., Eakins, S. (2018)“Financial Markets and Institutions” Pearson.*30) 中期国債ファンドの導入についても、その意図として米国のMMFの導入がありましたが、銀行の反対があったことから米国MMFと異なる商品性となりましたが、当時の中期国債の消化が必要であったことなどを背景に中期国債ファンドは実現しました。詳細は杉田(2013)などを参照してください。*31) 日本のMMFが米国MMFと異なり、(マネー・マーケット・ファンドではなく)「マネー・マネジメント・ファンド」とされた背景には、預金の競争相手となる商品であることから、銀行による根強い反対があったという意見があります。*32) 日本証券業協会のサイトではMRFは「証券総合口座で、投資資金を待機させておくための追加型公社債投資信託」であり、「元本は保証されていませんが、流動性と安全性を確保するため、運用対象を格付け・残存期間などで厳しく定めており、高格付けの債券のほか、コマーシャルペーパー、譲渡性預金証書などの短期金融商品で運用されています」と説明されています。詳細は日本証券業協会のサイトをご覧ください。 https://www.jsda.or.jp/jikan/word/171.html*33) 「MMF元本割れの衝撃(上)安全神話崩れマネー迷走――運用の受け皿失う」(2001/12/05 日経金融新聞)などを参照してください。参考文献[1]. 岡田功太(2014)「米国のMMF最終規則の公表とその影響」『野村資本市場クォータリー』2014 Autumn[2]. 宮内惇至(2015)「金融危機とバーゼル規制の経済学」勁草書房[3]. 木下智博(2018)「金融危機と対峙する『最後の貸し手』中央銀行:破綻処理を促す新たな発動原則の提言:バジョットを超えて」勁草書房[4]. 杉田浩治(2013)「日本の公社債投資の歴史と現状」『証券経済研究』第81号もっとも、2000年代前半に、米国エネルギー会社のエンロン社の債券を組み込んでいたMMFがあったことから、同社の破綻により、我が国では早々にMMFの元本割れを経験しました*33。また、1990年以降、基本的には円金利は低下傾向にあり、米国のように金利が上昇しMMFが普及する環境は生まれませんでした。特に、2016年に日銀がマイナス金利政策を導入したことで、MMFの元本割れの危険性が生まれ、安定した収益の確保をめざすという運用目的の達成が困難になったことから、2017年までに各運用会社がMMFを償還することを決定しました(これにより現在、日本のMMFは存在していません)。現在、米国のMMFに近い商品としてMRFが残っており、残高は2021年末で13.9兆円存在します。日本のMMFの詳細について関心がある読者は杉田(2013)を参照してください。米国MMF(マネー・マーケット・ファンド)入門BOX 2 日本におけるMMF(マネー・マネジメント・ファンド)本稿で説明したとおり、米国ではMMFが短期金融市場で重要な役割を果たしていますが、米国とは異なり、我が国ではMMF市場は発展しているとはいえません。歴史的には、我が国で中期国債の消化が必要であったことなどを背景に1980年に中期国債ファンドが設定されました*30。その後、1992年にMMF(マネー・マネジメント・ファンド)がスタートします*31。1997年に証券総合口座専用の商品としてMRF(マネー・リザーブ・ファンド)*32が設定されました。本文で説明したとおり、SECの改革について不十分という意見もあったわけですが、実際にこのような懸念はコロナ禍で顕在化します。コロナ禍において投資家が安全資産を求めるようになり、プライムMMFからガバメントMMFへ資金を移すなど、プライムMMFからの資金流出が起こりました。これは本稿で説明した改革が十分でなかった可能性を示唆しています。また、金融危機時に導入されたAMLFも、Money Market Mutual Fund Liquidity Facility(MMMF)と名称を変えて再開されます。現在、規制が再び見直されていますが、紙面の関係上、今回はこれらについては触れていません。今後、これらについて取り扱うことを予定しています。*30*31*32*33

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