ファイナンス 2022年4月号 No.677
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*4) 上記の3つの文書は、(1)「国家安全保障戦略」において、外交政策・防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針を定め、(2)「防衛計画の大綱」で防衛力の在り方と保有すべき防衛力の水準を規定し、(3)「中期防」で今後5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を明示する、という関係にある。令和4年度防衛関係予算について ○ 護衛艦(3,900トン)について、市況の動向を反映した部材価格の見直しや習熟度の向上に伴う加工工数の減少等による減[縮減見込額:32億円]○ 戦闘機(F-35)について、米国政府を通じた他FMS国との費用分担等の価格精査交渉等による減[縮減見込額:59億円]これらの文書は、日本の防衛戦略のみならず、国民の安全・安心を如何に確保するかといった国家の在り方をも規定するものであり、その策定には国民的な議論が求められる。とりわけ、防衛予算については、これまでも他の経費より優先して手厚く配分してきており、その多寡を巡る議論は他の経費への配分にも影響し得るものである。限られた財源を生かすためにも、変化する国際情勢を冷静かつ的確に捉えた戦略・作戦・戦術を取っているか、これらに応じた自衛隊の態勢・組織の見直しは十分か、といった観点を含め、地に足の着いた、現実的な議論を丁寧に積み重ねていくことが重要である。4.今後の課題周辺国の軍事力の近代化・強化や軍事活動の活発化など、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に変化する中、我が国の防衛整備の在り方が根本から問われている。こうした中、政府として、今後、概ね1年をかけて、「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防」を新たに策定することとしている*4。

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