ファイナンス 2022年3月号 No.676
97/102

各地の話題1江田島市の概要江田島市は広島県南西部の島の自治体です。本土とは、航路で約20~30分の距離にあり、架橋でも繋がっています。瀬戸内海で4番目に大きい島の面積は、約100km2で、約22千人が暮らしています。人口は、年間約500名程度の厳しい減少に直面しており、市内全域が過疎地域に指定されています。このため、様々な施策を展開し、人口問題に取り組んでいるところですが、本稿では、「しごとづくり」「縁づくり」「情報発信」に関する取組を中心に、いくつか御紹介したいと思います。2しごとづくり~新たな特産品 「オリーブ」「江田島市」という名前から想起するものとして、徐々に定着しつつあるオリーブ。でも、栽培の歴史としては、まだ十数年しか経過していません。市内では、人口減少や高齢化に伴う離農や耕作放棄地が増加。その中で着目したのが、気候的に適地で、かつ、比較的栽培が容易なオリーブでした。2011年には、市民への苗木購入助成制度を創設。産地化への取組を開始します。現在、市内に約1万5千本が植えられ、収穫量は10tに届くかという状況です。2016年には、民間企業がオリーブオイルの製造所やレストランをオープン。市民、企業、行政が一緒になって、新たな特産品づくりに取り組んでいます。オリーブの六次化複合施設「江田島オリーブファクトリー」3しごとづくり~「しごと」の誘引多くの過疎地と同様に、本市も、若い方が働く「しごとの場」が少ないことが課題です。このため、近年は、島の環境をセールスポイントとした、サテライトオフィスの誘引に注力しています。人の縁と時流が相まって、2021年には、首都圏のIT企業3社が、市内にオフィスを開設。また、嬉しいことに、宿泊施設の開業や、水産物加工工場の進出が決定するなど、ここ最近は、島に新たな「しごとの場」が続けて生まれてきています。本市に進出したIT企業のオフィスの開所式小兵の挑戦~広島県江田島市のまちづくり~江田島市企画部企画振興課 課長畑河内 真江田島市 ファイナンス 2022 Mar.93連載各地の話題

元のページ  ../index.html#97

このブックを見る