ファイナンス 2022年3月号 No.676
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八條キラリリでは、近隣の地方公共団体が定める水質基準よりも厳しい独自基準を設け、より安全性の高い「処理水」を公共下水道に放流しています。また、「臭気」については、発生する臭気を3段階の濃度ごとに生物脱臭装置と活性炭吸着装置を組み合わせるなどして効率的に分解・吸着処理しているほか、処理施設の内部は負圧管理し、エアカーテンなども設置することで、外部へ臭気が漏れることを抑えた構造を採用しています。写真(2)【活性炭吸着装置】「自然エネルギーの有効活用」の観点としては、八條キラリの屋上に太陽光発電設備を設置し、八條キラリで使用される電力の約5%を賄うことができる(残りの95%分については後述。)ほか、雨水貯留槽を設け、雨水を施設内のトイレ洗浄水として有効活用しています。さらに、「資源の再利用」の観点としては、年間約3,300tが生成される脱水汚泥のほとんどを、隣接する同組合の「第二工場ごみ処理施設」へ搬入し、「助燃剤」として利用しています。また、「第二工場ごみ処理施設」から、ごみの燃焼の際に得られる高圧蒸気により発電される電力の一部を八條キラリへ供給することで、八條キラリにおける必要電力の約95%を賄うことが可能となっています。このように、同組合では、八條キラリを含めたエネルギー循環(再利用)の体制も構築されています。写真(3)【汚泥脱水機】〈八條キラリ施設概要〉建築・延床面積:1,609.4m2・3.226.9m2構造等:鉄筋コンクリート造地上2階、地下1階 高さ14.9m処理能力:260.0kl/日(内訳)し尿 31.0kl/日浄化槽汚泥 228.5kl/日農業集落排水汚泥 0.5kl/日処理方式:固液分離方式+水処理方式資源化方式:助燃剤化方式4おわりにこの八條キラリの建設費は総額約26億円ですが、このうち約17億円に財政融資資金が活用されています。財政融資資金は、今回ご紹介した八條キラリのような廃棄物処理事業のみならず、地方公共団体が進める学校教育施設の整備事業や上下水道の整備事業、さらには近年多発している災害による被災の復旧事業など様々な目的に活用されています。関東財務局では、これからも財政融資資金の供給を通じて、時代に即した地域貢献に努めてまいります。(写真及び参考資料提供:東埼玉資源環境組合)92 ファイナンス 2022 Mar.連載各地の話題

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