ファイナンス 2022年3月号 No.676
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各地の話題1はじめに「汚泥再生処理センター」という施設をご存知でしょうか。かねてから「し尿処理施設」とも呼ばれ、悪臭の発生などによる周辺住環境への負の影響などから、いわゆる「忌避施設」や「嫌悪施設」などとも言われた存在です。しかしながら、近年は「持続可能な開発目標」(SDGs)への取組の推進などの流れも受け、環境に配慮した、また資源循環に重点を置いた汚泥再生処理センターが建設されるようになりました。今回は、埼玉県の南東部に位置する6市町(越谷市、草加市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町)のごみ処理やし尿処理等を担っている「東埼玉資源環境組合」(以下「同組合」)が整備した「第二工場汚泥再生処理センター」(愛称「八條キラリ」)についてご紹介します。写真(1)【八條キラリ全景】2「汚泥再生処理センター」とは埼玉県は、人口規模が全国第5位の734万4,765人(令和2年度国勢調査確報値)である一方で、下水道処理人口普及率は82.4%と全国第13位に留まっています(「令和2年度末の汚水処理人口普及状況について」(国土交通省ほか)。全国平均は80.1%。)。同組合のし尿等の処理対象地域である6市町は、人口増加が続いている地域が多く、特に八潮市、三郷市及び吉川市の3市は、埼玉県内における人口増加率が高い上位10市町村(それぞれ第2位、第4位及び第10位)に入っています(令和2年度国勢調査速報結果(埼玉県分))。これら6市町の下水道処理人口普及率をみると、草加市(98.0%)や三郷市(85.2%)などで埼玉県の平均を上回っている一方、松伏町では約69.1%、人口増加率が高い八潮市でも約77.7%など、全国平均を下回る市町もあり、地域差がみられます。「汚泥再生処理センター」は、下水道による未処理地域のうち、非水洗化地域からの「し尿」や、水洗化地域における浄化槽利用者から排出される「浄化槽汚泥」などを受け入れ、これらを様々な工程で処理することにより、「汚泥」、「処理水」そして「臭気」へと分解させます。「処理水」や「臭気」については無害化のうえ外部環境へ放出し、「汚泥」については「脱水汚泥」として資源化します。3八條キラリ八條キラリは、昭和56年に供用開始された前身の施設が、36年以上の時の経過で設備が老朽化したことなどに伴い、新たに整備されたもので、平成30年4月から本格稼働を始めました。八條キラリは、「環境への配慮」、「自然エネルギーの有効活用」そして「資源の再利用」の観点から、最新の技術により運用されています。「環境への配慮」の観点としては、上述のとおり、一般的に汚泥再生処理センターからは、「処理水」や「臭気」を外部環境へ放出する必要があります。八條キラ時代に即して地域に 貢献する財政融資資金関東財務局融資課 調査官坂倉 剛人八條キラリ ファイナンス 2022 Mar.91連載各地の話題

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