ファイナンス 2022年3月号 No.676
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(対前年度皆増)とし、特別会計においても地方財政の健全化を進めることができた。これらの結果、地方交付税交付金(出口ベース)に地方税、地方譲与税、地方特例交付金等及び臨時財政対策債を加えた地方の一般財源総額は62兆135億円*10(対前年度+203億円)を確保している。この一般財源総額に国庫支出金や地方債(臨時財政対策債を除く)等の特定財源を加えた歳入総額は90兆5,918億円(対前年度+1兆3億円)となり、歳出総額と同額となる。4. 令和4年度地方財政対策(東日本大震災分)について東日本大震災の復旧・復興にあたっては、令和3年度からの第2期復興・創生期間においても、復旧・復興事業及び全国防災事業について、それぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとされている。その財源については、改正された復興財源確保法*11において、必要な措置が講じられた。(1)復旧・復興事業費令和4年度地方財政対策においては、(1)直轄・補助事業の地方負担分(公営企業債等により賄うこととされている地方負担額を除く)として552億円、(2)地方単独事業分(単独災害復旧事業及び中長期職員派遣等)として149億円、(3)地方税の特例減税措置等に伴う減収分への対応として368億円、合計1,069億円を計上した上で、その財源として、過去の繰入分のうち交付税特会からの支出見込みがなくなった140億円(年度調整分)を除く929億円を震災復興特別交付税として措置し、東日本大震災からの復旧・復興への対応に万全を期すこととしている。なお、この震災復興特別交付税の財源は、東日本大震災復興特別会計から交付税特会に繰り入れられることとされている(返還金10億円を除く)。*10) 水準超経費(1兆8,500億円)を除いている。*11) 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)*12) なお、地方単独事業分については、平成24年度までは全国防災事業として実施されていたが、平成25年度以降、通常収支において緊急防災・減災事業費として計上している。*13) 令和元年3月以降、総務省は地方単独事業(ソフト)の決算額の内訳を調査・公表している。データの経年比較を行い、PDCAサイクルを確立するためにも、この取組を深化・拡大させ、継続していくことが重要である。(2)全国防災事業全国防災事業(全国的に直轄・補助事業として行われる緊急防災・減災事業)の地方負担分は、個人住民税の均等割の標準税率の10年間の引上げといった地方税における時限的な税制措置などの地方負担で賄うこととしており、この事業費と財源については通常収支分と別に整理されている*12。当該事業の実施は平成27年度で終了し、平成28年度以降は、これまでの全国防災事業に伴って発行した地方債の元利償還金(公債費)及びこれに充当する歳入のみの計上が行われている。令和4年度の公債費は1,023億円(対前年度▲67億円)となっており、これを時限的な税制措置による地方税収768億円(対前年度+24億円)と、通常収支分からの充当254億円(対前年度▲91億円)等で賄うこととしている。5.おわりに以上のとおり、令和4年度地方財政対策は、一般財源総額を前年度と実質的に同水準とし、地方公共団体の現下の課題に対応しつつ、臨時財政対策債の発行を大幅に縮減するなど、地方財政の健全化を大きく進める内容となった。今後の地方財政を考えると、社会保障分野の歳出増などが見込まれる中でも、地方財政計画に計上された事業の実績や効果について「見える化」を進めながら不断に検証し歳出改革を進め、持続可能性を確保していくことが求められる。令和5年度以降も、地方一般財源総額実質同水準ルールの下で、国・地方を通じた財政健全化を目指して取り組んでいくことが必要である*13。 ファイナンス 2022 Mar.19令和4年度予算特集:2令和4年度地方財政対策について 特 集

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