ファイナンス 2022年3月号 No.676
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1.はじめに(1)地方交付税交付金制度の仕組み地方交付税交付金は、地方交付税法において、国税収入額の一定割合(令和4年度は所得税及び法人税の収入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の19.5%)並びに地方法人税の税収額を充てる旨が規定されている*1。しかし、実際に地方公共団体に交付される地方交付税総額の原資として、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)へ繰り入れられる地方交付税交付金(入口ベース)は、この国税収入の一定割合である、いわゆる法定率分に、・過去の地方財政対策における国と地方の貸し借りなどに起因して、地方交付税法附則等によって後年度に加算することが定められている額の加算(法定加算等)及び過年度の精算による加減算・地方財政全体の収支見通しにおいて、地方歳出の総額と、地方税、地方交付税の法定率分及び法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方歳入の合計額との間に生じた乖離(地方の財源不足)を国・地方が折半して補塡するための加算(特例加算)を行ったうえで決定される。(2)地方一般財源総額実質同水準ルール地方財政計画*2においては、平成23年度以降、地方の歳出水準について国の一般歳出の取組と基調を合*1) 地方交付税法第6条第1項*2) 地方交付税法第7条の規定に基づき作成される地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類。*3) 地方税、地方譲与税、地方特例交付金等、地方交付税交付金、臨時財政対策債の合計。*4) 「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)*5) 水準超経費(1兆8,500億円)を除いている。*6) 令和3年度の歳入歳出総額、一般財源総額、地方税等、公債費は、令和2年度徴収猶予の特例分(2,145億円)を除いている(以下同じ)。わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源*3の総額について、前年度を下回らないよう実質的に同水準を確保することとされてきた(「地方一般財源総額実質同水準ルール」)。政府は平成30年6月15日に「新経済・財政再生計画」を含む「経済財政運営と改革の基本方針2018」を閣議決定し、令和7年度(2025年度)の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指す旨を掲げた。この財政健全化目標の実現に向けて、この地方一般財源総額実質同水準ルールを令和6年度(2024年度)まで維持することとしている*4。2. 令和4年度地方財政対策の概要について令和4年度の地方財政対策においては、地域社会のデジタル化や公共施設の脱炭素化の推進等に取り組みつつ、交付団体をはじめ地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、前述した地方一般財源総額実質同水準ルールを堅持することを基本として地方財政対策を講ずることとした。その結果、・地方公共団体に交付される地方交付税交付金(出口ベース)は18.1兆円(対前年度+0.6兆円)、地方の一般財源総額は前年度と実質的に同水準の62.0兆円*5(対前年度+0.0兆円*6)としつつ、・過去最高の地方税収等の見込みを背景に、折半対象財源不足を2年ぶりに解消し、臨時財政対策債の発令和4年度 地方財政対策について主計局主計官 高田 英樹 ファイナンス 2022 Mar.15令和4年度予算特集:2特 集

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