ファイナンス 2022年3月号 No.676
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置し、FIT/FIP制度等によることなく、再生可能エネルギーを長期的に利用する契約を締結する場合等に、太陽光発電設備の導入を支援するため125億円〔新規〕、生産技術等カーボンニュートラル実現に向けたトランジション推進のための利子補給事業6億円〔+4億円〕等を計上している。〈脱炭素化に向けた研究開発の促進〉脱炭素化に向けた研究開発を促進するため、洋上風力の海域調査を行うとともに低コスト化に向けた研究開発・実証の実施や、水素、アンモニア等の実用化拡大に向けた研究開発を加速するための予算を措置している。具体的には、洋上風力発電の導入拡大に向けて、洋上風力事業を行うために必要な海域調査を行うとともに、低廉かつ強靱なエネルギー供給体制を構築するための技術開発・実証に66億円〔▲17億円〕、水素利用の拡大に向けて、高効率・高耐久・低コストの燃料電池システムや移動体用水素タンク等の実現のための技術開発に79億円〔+12億円〕、火力発電の高効率化・低炭素化に向けたアンモニア混焼等の技術開発を実施するとともに、火力発電所から回収した二酸化炭素を再利用するためのカーボンリサイクル技術開発に170億円〔+8億円〕等を計上している。イ.燃料安定供給対策我が国のエネルギーの安定供給を確保する観点から、災害時におけるエネルギー供給体制の強靱化や国内外の資源確保等に必要な経費を計上している。具体的には、石油コンビナートにおける事業者間連携等により生産性向上や、自然災害に対する製油所等の強靱化を支援するとともに、カーボンニュートラル社会に対応した製油所等の事業再構築を促進するため75億円〔▲47億円〕、石油・天然ガスの自主開発比率の引上げのため、日本企業による石油・天然ガスの権益確保を支援するための(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への出資金388億円〔▲125億円〕等を計上している。(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)電源開発促進勘定の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」及び「原子力安全規制対策」で構成されており、前二者の経済産業省所管分については、それぞれ1,463億円〔▲63億円〕、148億円〔▲5億円〕を計上している。このうち、「電源立地対策」の約半分を占める電源立地地域対策交付金は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、立地自治体に対して交付される交付金である。設備容量や発電電力量などによって交付額が算定されており、730億円〔▲24億円〕を計上している。また、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月閣議決定)を踏まえ、中間貯蔵施設費用相当分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する交付金として470億円〔同額〕を計上している。6 復興関係(東日本大震災復興特別会計)特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた住民への意向調査や東日本大震災の被災地の復旧・復興状況を踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現や被災中小企業の復旧事業等に必要な予算を計上している。具体的には、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けて、住民への意向調査や意向確認結果を反映した対象地域の地図データ、線量データ等の整備を実施するため14億円〔新規〕、福島県浜通り地域の産業振興に資する技術開発・実用化開発を支援するため59億円〔+2億円〕、福島ロボットテストフィールド等の拠点施設の運営等や関連プロジェクトの創出等を支援するため11億円〔▲0億円〕、被災地の産業復興・雇用創出に向けて、中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(いわゆるグループ補助金)に22億円〔▲42億円〕等を計上している。○ 環境省予算1 概観環境省の令和4年度一般会計予算では3,291億円を計上しており、うち1,317億円がエネルギー対策費、454億円が公共事業関係費、1,033億円が科学技術振興費・その他経費、488億円が原子力規制委員会関係となっている。また、東日本大震災復興特別会計において3,466億円を計上している。12 ファイナンス 2022 Mar.特 集

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