ファイナンス 2022年3月号 No.676
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3 中小企業対策中小企業対策費は、経済産業省予算のほか、財務省予算及び厚生労働省予算に計上されており、中小企業等に対する貸出動向等を踏まえ、政策金融に要する経費の減少〔▲54億円〕があった一方、その他の政策的経費の増〔+41億円〕を反映して、一般会計全体では1,713億円〔▲13億円〕を計上している。令和4年度予算においては、取引適正化対策や、事業再生・事業承継支援に重点的な予算措置を行うとともに、デジタル化をはじめ生産性向上に向けた支援等に必要な予算を計上している。具体的には、「下請かけこみ寺」による相談対応、下請代金法の執行、下請Gメン(取引調査員)による監督等により取引適正化を推進する中小企業取引対策事業21億円〔▲14億円〕、再生支援や事業承継支援のためのワンストップ窓口の整備等を行う中小企業再生支援・事業承継総合支援事業158億円〔+63億円〕、事業引継ぎ時の士業等の専門家の活用費用等を補助する事業承継・引継ぎ支援事業16億円〔+0億円〕、中小企業が産学官連携により行う研究開発等を支援する成長型中小企業等研究開発支援事業105億円〔▲4億円〕、複数の中小企業等がデータ等を共有し連携体全体として生産性向上を図るものづくり等高度連携・事業再構築促進事業10億円〔新規〕を計上している。資金繰り対策については、(株)日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会の債務保証等を円滑に行うため226億円〔▲44億円〕(別途財務省分606億円〔▲10億円〕)を計上している。また、中小事業者支援の質の向上を図るため、よろず支援拠点等があっせんする専門家派遣事業の一部有償化などの見直しなどを実施するほか、事業目的が類似する補助金を、事業者目線に立って統合整理し、使い勝手を改善している。4 その他一般会計令和4年度予算においては、2025年大阪・関西万博に係る経費や、中堅・中小企業等の海外展開支援及び対内直接投資の促進等に必要な予算を計上している具体的には、大阪・関西万博開催に向けて、会場建設に関する基本設計・実施設計、日本政府館出典に係る基本設計などを実施するため、37億円〔+8億円〕を計上している。また、(独)日本貿易振興機構(JETRO)の国内外のネットワークを活かし、中堅・中小企業の海外展開支援や対内直接投資を促進するため、運営費交付金として255億円〔+2億円〕等を計上している。5 エネルギー対策特別会計エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある。(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)令和4年度予算においては、2050年カーボンニュートラル・2030年の温室効果ガス46%削減目標の達成に向け、予算の重点化・効率化を進めつつ、省エネ・再エネの導入、再エネの主力電源化を進めるための太陽光、洋上風力、地熱等の導入や、水素、アンモニア等の実用化・普及に向けた研究開発を加速するために必要な予算を計上している。また、昨年度創設した、野心的な二酸化炭素の排出削減に取り組む企業に対する成果連動型の低利融資制度など金融手法を活用した支援を拡充するほか、災害時におけるエネルギー供給体制の強靱化や国内外の資源確保に向けた取組を支援するための予算を計上している。ア.エネルギー需給構造高度化対策〈省エネルギー・再生可能エネルギーの導入促進〉省エネルギー・再生可能エネルギーの導入を促進するため、省エネ設備投資・クリーンエネルギー自動車の購入、太陽光発電設備の導入等を支援するとともに、令和3年度に創設した、成果連動型の低利融資制度など金融手法を活用した支援を実施することとしている。具体的には、産業・業務部門における省エネ取組の推進に向けて、工場・事業場における先進的な省エネ設備等への更新費用を支援するため253億円〔▲72億円〕、クリーンエネルギー自動車の市場確立に向けて、電気自動車(EV)等の車両購入費用の一部補助に加え、車載用をはじめとした国内の蓄電池のサプライチェーン強靱化のための設備投資や生産技術等に関する研究開発費用の一部を支援するため155億円〔同額〕、発電事業者や需要家自らが太陽光発電設備を設 ファイナンス 2022 Mar.11令和4年度予算特集:2令和4年度 司法・警察、経済産業、環境予算について特 集

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