ファイナンス 2022年3月号 No.676
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先行プロジェクトに関する取組の実施に必要な経費として、25億円を計上している。(4)各省庁所掌予算の一括計上各省庁所掌の予算については、被災地からの要望にワンストップで対応するため、被災地の要望を復興庁において一元的に受理し、これを踏まえ、復興事業に必要な予算を復興庁が一括して要求し、予算を計上しているところであり、4,790億円を計上している。また、執行段階においても、復興庁が各省庁へ事業の実施に関する計画等を通知し、予算の配分を行っている。5.外交関係予算(1)ODA予算ア.ODA予算の位置付けと4年度予算の特徴我が国のODA予算は、経済成長及び経常収支黒字の拡大を背景に1970年代末から1990年代後半にかけて大幅に増加した後、財政構造改革に伴い、量から質への転換を果たした。近年はおおむね横ばいとなっており、「自由で開かれたアジア太平洋」の実現等に向け活用されている。4年度における一般会計ODA予算は、新型コロナウイルス感染症の国際的な収束や、気候変動対策を含む開発・人道支援ニーズ、「自由で開かれたインド太平洋」の具体化のための協力に重点的に予算を配分し、前年度より12億円の増加となる5,612億円(3年度5,599億円)を計上している。イ.外務省ODA予算ODA予算の大部分を占める外務省ODA予算は、主に、無償資金協力、技術協力及び国際機関等への拠出から構成される。[無償資金協力・技術協力]無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組への支援、経*9) 国際機関等への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助にかかる緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。技術協力は、感染症対策や気候変動対策といった途上国の開発課題に対処すべく、日本の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として、国際協力機構が専門家の派遣や研修員の受入れ等を行うものである。4年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2月10日閣議決定)を踏まえつつ、(1)グローバルな課題への対処、(2)「自由で開かれたインド太平洋」の具体化、(3)日本経済を後押しする外交努力等に必要な経費として、無償資金協力については1,633億円(3年度1,632億円)、技術協力については1,518億円(3年度1,517億円)を、それぞれ計上している。このうち、無償資金協力事業の一部である「施設・機材等調達方式」については、実施機関である国際協力機構に資金の滞留が確認されたことから、遅れが見られる案件の予算の見送りを行った。今後も、適正かつ効率的な予算執行となるよう取り組んでいく必要がある。[国際機関等への拠出*9]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。この任意拠出金については、(1)国際機関等の活動の成果・影響力、(2)日本の外交政策上の有用性・重要性、(3)組織・財政マネジメント、(4)日本人職員・ポストの状況等を踏まえつつ、メリハリ付けを行っている。4年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,012億円(3年度1,032億円)、任意拠出金として339億円(3年度336億円)を、それぞれ計上している。(2)外務省予算ODA予算を確保しつつ、対外発信、在留邦人の保護・支援体制、デジタル化の推進など外交活動を支える予算に重点的に措置している。外務省予算の主な項目は以下のとおりである。 ファイナンス 2022 Mar.7令和4年度予算特集:2令和4年度 内閣・内閣本府等、デジタル庁、復興庁及び外交関係予算について特 集

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