ファイナンス 2022年2月号 No.675
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3.令和4年度予算の概要(1)令和4年度予算のポイント令和4年度予算は、いわゆる「16か月予算」の考え方のもと、令和3年度補正予算と一体として編成し、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算としている。本予算は、前述の経済財政状況等を踏まえ、「令和4年度予算編成の基本方針」(令和3年12月3日閣議決定)に沿って編成が進められたものであり、具体的なポイントは以下の通りである。(1)感染拡大防止令和3年度補正予算による、医療提供体制の確保、ワクチン接種体制の整備、治療薬の確保等に加え、予期せぬ状況変化への備えとして、引き続き5兆円の新型コロナウイルス感染症対策予備費を措置する。(2)「新しい資本主義」の実現【成長戦略】「科学技術立国」の観点から、過去最高の科学技術振興費を確保し、デジタル、グリーン、量子、AI、宇宙、次世代半導体等の研究開発を推進、博士課程学生への支援を充実させる。また、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル庁について、情報システム関係予算の一括計上等を推進する。地方向け交付金により、自治体の創意によるデジタル技術の実装等を幅広く支援する。デジタル推進委員を全国に展開する。更に、「経済安全保障」について、量子暗号通信の研究開発の推進や、重要技術の管理体制等を強化する。【分配戦略】新型コロナ医療対応等を行う医療機関の看護職の方、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方について、診療報酬等による対応を通じて、給与を3%引上げる。更に、デジタルなど成長分野を支える人材育成や非正規労働者のステップアップ、円滑な労働移動を支援するなど、人への投資を推進する。また、「下請けいじめゼロ」等を実現するため、下請Gメンを倍増し、全国の下請中小企業へのヒアリング等、監督体制を強化する。(3)メリハリの効いた予算歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、「経済財政運営と改革の基本方針2021」の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続している。・社会保障関係費+4,400億円程度(高齢化による増(年金スライド分は除く))・非社会保障関係費+330億円(これまでの取組の継続)また、予算の単年度主義の弊害是正に取り組むなど、予算の質も向上させている。結果として、前年度予算と比較して、新規国債発行額を減額する(令和3年度(当初)43.6兆円⇒令和4年度36.9兆円)など、メリハリの効いた予算となるよう編成している。(2)令和4年度予算のフレーム令和4年度予算の一般歳出については、67兆3,746億円であり、これに地方交付税交付金等15兆8,825億円及び国債費24兆3,393億円を加えた一般会計総額は、107兆5,964億円となっている。歳入については、租税等の収入は65兆2,350億円、その他収入は5兆4,354億円を見込み、公債金は36兆9,260億円となっている。(3)主要な経費の概要社会保障関係費については、看護、介護、保育等の現場で働く方々の処遇改善に必要な経費を確保しつつ、診療報酬のメリハリある改定や市場価格を反映した薬価改定など、様々な改革努力を積み重ねた結果、実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針に沿ったものとなっている。これらの結果、36兆2,735億円を計上している。文教及び科学振興費については、小学校高学年における教科担任制の推進等のため、必要な教職員定数の措置及び合理化等を行うほか、「科学技術立国」の観点から、デジタル、グリーン等の研究開発を推進するとともに、博士課程学生の処遇向上に向けた支援を充実することとしている。これらの結果、5兆3,901億円を計上している。 ファイナンス 2022 Feb.5令和4年度予算特集:1令和3年度補正予算及び令和4年度予算について 特 集

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