ファイナンス 2022年2月号 No.675
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PRI Open Campus~財務総研の研究・交流活動紹介~財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、年4回程度、「フィナンシャル・レビュー」(以下、「FR」)という学術論文誌を編集・発行しています。今月のPRI Open Campusでは、昨年の6月に刊行された、国の債務と債務管理をテーマとしたFRについて、責任編集者を務めていただいた小枝淳子早稲田大学准教授(前財務総研総括主任研究官)にインタビューを行い、どのような問題意識に基づく特集なのか、それぞ*1) 総債務から政府部門の保有する金融資産を差し引いたもの。れの論文についてどのような学術的貢献があるのかなどを、「ファイナンス」の読者の皆様に、わかりやすく紹介していきます。1.はじめに内藤:平成31(2019)年4月から令和3(2021)年3月までの2年間、小枝先生は総括主任研究官として財務総研に勤務されていらっしゃいました。本日は、その間に責任編集者として刊行された、国の債務と債務管理をテーマとしたFRについてお話を伺いたいと思います。まず初めに、今回の特集号を企画された際に小枝先生がお持ちだった問題意識をお聞かせください。小枝淳子准教授(以下、小枝):私の問題意識はFRの序文に記載したものそのものです。我が国の債務水準は、平成以降慢性的な財政赤字が続いた結果、純債務(ネット)*1でみても総債務(グロス)でみても非常に大きく、他国と比較しても財務総合政策研究所総務研究部財政経済計量分析室研究官  内藤 勇耶フィナンシャル・レビュー 「国の債務と債務管理に関する分析」の見所 責任編集者 小枝淳子准教授に聞く4[プロフィール]小枝 淳子 早稲田大学准教授(写真左)マクロ経済学・金融を専門としております。東大経済学部を卒業後、UCLAにて経済学博士号取得しました。その後、IMFのエコノミスト、大学教員(東大、早大)、昨年3月まで2年間財務総研の総括主任研究官を務めた後、現職に就いています。[聞き手]内藤 勇耶 財務総合政策研究所研究官(写真右)平成29(2017)年に財務省に入省し、「国の産業投資の在り方」の策定を担当したのち、高松国税局管内で勤務しました。令和2(2020)年7月から財務総研で、研究官として「パネルデータと地図からアプローチする第二子出生にかかる要因分析と提言」を執筆するなどの活動を行っています。フィナンシャル・レビューは、財政・経済の諸問題について、第一線の研究者、専門家の参加の下に、分析・研究した論文をとりまとめたものです。昭和61(1986)年から刊行を続けています。コラム フィナンシャル・レビューとは78 ファイナンス 2022 Feb.連載PRI Open Campus

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