部ではリャマやアルパカの肉も食べられていますが、いずれもやや硬く好みの分かれる味であるものの、小柄な分アルパカの方が食べやすいかと思います。リャマ(4)パタゴニアパタゴニアと総称される南緯40度以南の地域は、北端は湿潤なパンパに含まれるものの、一般に乾燥した不毛の大地が広がっており、年間を通して気温が低く風が極めて強いことで知られています。しかしその中でも、ペンギンやクジラ等の一大生息地となっているバルデス半島、「南米のスイス」とも呼ばれる高原リゾートのバリローチェ、大氷河に囲まれたエル・カラファテ、南極クルーズの拠点ウシュアイアなど各地域において顕著な特色があることが指摘できます。なお、パタゴニアでは過酷な環境のため牧牛の代わりに牧羊が盛んですが、コルデロ・パタゴニコ(パタゴニアン・ラム)と呼ばれる子羊の味は極めて絶品で、ブランド羊として欧米にも輸出されています。ペリト・モレノ氷河 6 おわりにアルゼンチンの姿について、主要な観光資源を交えながら簡単にご紹介させていただきました。全ての魅力を書き切るにはこの余白は狭すぎるというわけですが、本稿をきっかけに、僅かながらでもアルゼンチンに関心を持っていただき、一人でも多くの方がいつか現地を訪れていただければ何より有り難いことです。最後に、パンデミックの収束と対外債務問題の早期解決を通じて、アルゼンチンの魅力が一層引き出されるための土壌となる持続的な経済成長が実現することを強く祈り、本稿の結びとさせていただきます。アルゼンチン、とりわけブエノスアイレス近郊のパンパには、エスタンシアと呼ばれる植民地時代の名残の大農牧場(荘園)が数多く点在しており、そのいくつかは豪奢な家屋と広大な土地を利用した観光用の宿泊施設として開かれています。その圧倒的な規模感は日常を離れリラックスするのに十分で、乗馬を楽しむも良し、アサードを堪能するも良し、草原で午睡を貪るも良しと非常に贅沢な時間を過ごすことができます。ガウチョパンツで知られるガウチョ(アルゼンチン版カウボーイ)が観光客向けのショーを披露してくれるエスタンシアもあります。エスタンシア・ビジャ・マリアコラム3エスタンシア ファイナンス 2022 Feb.57海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー
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