ファイナンス 2022年2月号 No.675
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(1)ブエノスアイレスラプラタ川の河口部に位置する港町の首都ブエノスアイレス自治市は、「南米のパリ」との異名を持つほどヨーロッパ風建築で埋め尽くされ、洗練された街並みが広がっています。市内には多くの美術館や劇場、公園が点在し、豊かで文化的な街であることを感じられます。市民が自らをポルテーニョ(港の住人)と称していることからも、国内の他地域と異なるブエノスアイレスの都会性が誇りにされていることが分かります。少なくとも市内の様子は一般的な南米のイメージとはなかなか結びつかないのではないでしょうか。しかし自治市を出てブエノスアイレス州に入るとすぐ、牛馬と草原以外何も存在しないかのようなどこまでも続く平野が見えてきます。州内には比較的貧しい人々の集住地域が点在している一方で、富裕層向けのゲーテッドコミュニティや、船のみでアクセスできる川沿いの別荘地なども開発されており、自治市内とは全く異なる多種多様な生活様式に驚かされます。大統領府、通称カサ・ロサダ(ピンク・ハウス)(2)イグアスの滝東部のブラジルとの国境に位置するのが、世界三大瀑布の一つとされるイグアスの滝です。先住民グアラニー族の言葉で「大いなる水」を意味するイグアスの規模は極めて大きく、最大落差80m以上の約300の瀑布が連なり全体で約4kmもの滝幅を有すると言われます。その大迫力の水量は、かつてここを訪れたエレノア・ルーズベルト元米国大統領夫人に「かわいそうなナイアガラ」と言わしめたとされるほどです。なお、議論が分かれるところですが、ブラジル側よりアルゼンチン側の方がインパクトある滝の眺望が楽しめると評判です。最大瀑布「悪魔の喉笛」(3)北部北部のサルタやフフイはアンデスの高原地帯に当たり、乾燥した峡谷に囲まれた地域です。標高が上がるにつれて荒涼とした渓谷に現れる巨大なサボテンが特徴的で、その気候を生かしてカファジャテ渓谷では輸出向けの上質なワインが製造されています。また、最北部に位置するウマワカ渓谷は「南米のグランドキャニオン」とも呼ばれ、様々な鉱物によって美しい虹色のグラデーションの岩肌を見せる山々が連なっています。なお、北56 ファイナンス 2022 Feb.連載海外 ウォッチャー

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