ファイナンス 2022年2月号 No.675
6/102

1. 令和3年度補正予算及び令和4年度予算編成の背景日本経済については、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況から徐々に回復しつつあるが、オミクロン株の感染拡大に直面し、国民生活や経済への影響は依然として続いている。また、先行きについては、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されるが、下振れリスクにも十分注意する必要がある。(参考)令和3年度の実質GDP成長率は2.6%程度、名目GDP成長率は1.7%程度と見込まれており、令和4年度はそれぞれ3.2%程度、3.6%程度と見込まれている。一方、財政状況に目を転じれば、日本の財政は、少子高齢化が進む中、社会保障の受益と負担のアンバランスという構造的課題に直面している。財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を降ろすことなく、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)等における2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革をしっかり進めていく。2.令和3年度補正予算の概要(1)令和3年度補正予算のポイント昨年11月19日に、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が閣議決定された。この経済対策は、・新型コロナウイルス感染症の拡大防止、・「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、・未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動、・防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保、を柱としており、令和3年度補正予算はこれを実行するためのものである(昨年12月20日成立)。(2)令和3年度補正予算のフレーム令和3年度補正予算の歳出においては、経済対策の実行に係る経費として31兆5,627億円を計上している。このほか、国債整理基金特別会計への繰入れ、地方交付税交付金の増額等を行うとともに、既定経費を減額している。一方、歳入においては、租税等の収入について、最近までの収入実績や企業収益の動向等を勘案して6兆4,320億円の増収を見込んでいる。また、税外収入について、1兆3,516億円の増収を見込むほか、前年度剰余金6兆1,479億円を計上している。以上によってなお不足する歳入について、公債を22兆580億円発行することとしている。この結果、令和3年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに35兆9,895億円増加し、142兆5,992億円となる。また、令和3年度の公債発行額は65兆6,550億円となる。令和3年度補正予算及び 令和4年度予算について主計局総務課主計官 渡邉 和紀2 ファイナンス 2022 Feb.特 集

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る