筆者、サルタにて 1 はじめに*1アルゼンチンと聞いて何をイメージされるでしょうか。サッカー、タンゴ、ワインに牛肉といったところでしょうか。日本茶に似たマテ茶をご存知の方も多いかもしれません。しかし、そうした有名なキーワード*1) 本稿は全て筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織を代表するものではありません。を除き日本においてアルゼンチンが話題に上ることは少なく、具体的なイメージが人口に膾炙している状況ではありません。本稿は、あまり知られていないアルゼンチンの情報をご紹介し、外交官の端くれとして任国のポジティブな認知度を高めることを狙いとしています。併せて、アルゼンチンを語る上で切り離すことのできない債務問題や新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの現状にも触れておきたいと思います。海外ウォッチャー在アルゼンチン大使館 二等書記官 藤田直文*1FOREIGNWATCHER地球の裏側アルゼンチンのいま ~パンデミックと債務危機~アルゼンチンといえばワイン、とりわけマルベック種が有名です。原産地はフランス南西部のカオールとされますが、現在では世界全体での栽培面積の8割超がアルゼンチンに集中しているそうです。乾燥地帯での高地栽培による強い日差しと大きい寒暖差がマルベックを育てるのに最適な環境を生み出しています。その特徴は「黒ワイン」とも称されるほど色の濃さ及びタンニンの豊富さで、濃厚で力強いフルボディはアルゼンチンの肉料理にとてもよく合います。国内の主な栽培地であるアンデス山脈沿いのメンドーサ州及びサルタ州カファジャテには数多くのボデガ(ワイナリー)が点在しており、試飲ツアーも行われています。人気銘柄のルティーニコラム1マルベックワインマテ壺、ボンビージャ(茶漉し付きストロー)50 ファイナンス 2022 Feb.連載海外 ウォッチャー
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