社の株式は、約15%を中国企業が保有しており*37、フォルクスワーゲンは1984年に設立した上汽集団との合弁会社を通じて現地生産を進めている。現地の生産拠点には、2012年8月に稼働させた新疆ウイグル自治区ウルムチ市の工場が含まれる*38。このように、貿易に加え、ドイツの自動車メーカーによる中国での現地生産・販売も含めて見ると、ドイツの特に自動車産業は中国市場に依存していると言える。中国からの輸入品目については、2019年で最大となるのが電子機器(約30.9%)、次いで機械類(約22.3%)(図12)。電子機器の内、約30.3%(全体の9.4%)はスマートフォンなどの電話機等である。この電話機等に関してドイツの輸入先の内訳をみると、最大の輸入国は中国であり、その割合は5割を超えている。ドイツはこの点においても中国に依存していると言える(図13)。以上のように、ドイツと中国の貿易を概観すると、両国の結びつきは年々強まっていることが分かる。この傾向は新型コロナウイルスの感染拡大によりさらに顕著になっている。中国は欧米諸国と比較して早期に*37) https://www.daimler.com/investors/share/shareholder-structure/*38) Automotive Media Response(2013年8月30日付け)「VW、中国新疆ウイグル自治区の新工場を稼働…サンタナ 新型生産」回復が進んだため、2020年においてドイツの輸出に占める中国の割合はさらに上昇した(図6)。また輸入についても、マスク等、医療関連器具の輸入増により中国の割合が増加(図7)。欧米諸国の経済が落ち込んだ際に、ドイツの輸出入全体に中国に占める割合が増加したことは以前にもあった。2008年のリーマンショックによる国際金融危機がその例だ。ドイツの輸出全体に占める中国の割合は、2007年に3.1%だったが、2009年には約1.5倍の4.7%に上昇している。それに対して、2007年から2009年にかけて米国の割合は7.6%から6.8%に、英国の割合は7.2%から6.6%に減少している(図6)。この傾向は輸入に関しても同様である(図7)。ドイツの貿易における中国の存在感が、欧米の経済危機時にさらに強まる傾向にあることが読み取れる。(3)ドイツとヴィシェグラード・グループの関係以上のように、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ドイツの貿易において中国はますます大きな存在となっているが、これをもって、「ドイツが中国図12 2019年対中輸入品目(単位:%)9.421.522.33.939.03.9電子機器30.9機械類衣類(出所)ドイツ連邦統計局電話機(携帯回線網用その他の無線回線網用の電話を含む。)電気機器及びその部分品等機械類及びその部分品等衣類及び衣類附属品光学機器及びその部分品等その他図13 2019年電話機 輸入国シェア(単位:%)中国50.3ベトナム9.8その他16.5ハンガリー2.1台湾2.1ポーランド2.6米国3.2英国3.8オランダ4.7チェコ4.9(出所)ドイツ連邦統計局図10 フォルクスワーゲン地域別販売割合(単位:%)中国38.6西ヨーロッパ34.1北アメリカ8.7中央、東ヨーロッパ7.3アジア太平洋2.7中東/アフリカ3.0南アメリカ5.5(出所)Volkswagen HP図11 メルセデスベンツ地域別販売割合(単位:%)中国29.6アジア/太平洋地域(中国を除く)12.2ヨーロッパ40.1NAFTA15.9その他2.2(出所)Car Sales Statistics HP40 ファイナンス 2022 Feb.SPOT
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