(2)消化方式別発行額国債の消化方式は、大別すると、「市中発行」、「その他」の2方式に分けられる(表1中)。大半を占める「市中発行」分のうち、カレンダーベース市中発行額については、前年度当初比▲22.8兆円、前年度補正比▲13.6兆円の198.6兆円となっている。「その他」には、個人向け販売分や、公的部門(日銀乗換)が含まれるところ、個人向け販売分は、足元の販売状況等を踏まえ、前年度補正比+0.1兆円の2.9兆円としている。また、公的部門(日銀乗換)は、日本銀行が保有する国債が満期を迎えた際に、その一部について借換債を引き受ける制度である。令和4年度は、国債発行総額や市場環境等を踏まえ、前年度と同額の2.2兆円としている。(3)年限別発行額カレンダーベース市中発行額の年限別発行額については、上述のとおり前年度当初比▲22.8兆円、前年度補正後から▲13.6兆円となった。そうした中、令和5年度の借換債の増加要因となる短期債を前年度当初比▲22.8兆円、前年度補正比▲13.6兆円の60.4兆円とするとともに、市場からのニーズが強い、40年債を前年度補正比+0.6兆円の4.2兆円、10年債を同+1.2兆円の32.4兆円、流動性供給入札を同+0.6兆円の12.0兆円とする一方で、市場からのニーズが低く、償還期限の短い2年債を同▲2.4兆円の33.6兆円としている(表1右)。この結果、カレンダーベース市中発行額全体のうち短期債が占める割合は30.4%まで減少し(表2左)、新型コロナ対応で短期化した平均償還年限は7年9カ月まで増加する見込みとなった(表2右)。3.おわりに令和4年度国債発行総額は、引き続き高い水準となっており、国債発行残高(財投債含む)は、令和4年度末に約1139.0兆円に達すると見込まれている。また、3年度補正及び4年度国債発行計画において、課題となっている短期債の発行縮減に努めたものの、依然として従前と比べて高い水準にある。今後も借換債を含めた国債の大量発行を余儀なくされる中、これらの国債を確実かつ円滑に発行しつつ、中長期的な調達コストの抑制を図っていく観点から、国債管理政策は一層重要となっている。国債発行当局としては、引き続き国債市場の動向を注視しつつ、市場関係者との緊密な対話を行い、中長期的な需要動向を見極め、安定的で透明性の高い国債発行に努めていく所存である。(表2)令和4年度カレンダーベース市中発行額及び平均償還年限の推移7年9ヶ月7年1ヶ月6年10ヶ月6年8ヶ月9年0か月8年11ヶ月9年0か月8年10ヶ月8年9ヶ月8年2ヶ月7年9ヶ月4(当初)3(補正後)3(当初)2令和元3029282726平成25(推計)(推計)(推計)30.021.621.682.583.274.060.434.825.224.033.036.036.033.632.424.022.828.230.030.030.028.826.425.229.731.231.232.422.822.821.626.728.828.829.47.212.612.611.411.411.412.0156.6134.2129.4212.3221.4212.2198.6(注)フローベース(注)令和2年度までは最終補正ベース令和4年度に償還到来令和4年度に償還到来令和4年度に償還到来令和5年度に償還到来令和5年度に償還到来令和6年度に償還到来令和5年度に償還到来〈平均償還年限の推移〉04080120160200240平成2530令和元4(当初)(年度)3(補正後)3(当初)2〈カレンダーベース市中発行額(定期的な入札による発行)の推移〉30.4%34.9%37.6%(兆円)流動性供給入札物価連動債超長期債(20、30、40年)長期債(10年)中期債(5年)中期債(2年)短期債(1年以下) ファイナンス 2022 Feb.23令和4年度予算特集:1令和4年度国債発行計画について 特 集
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