上で、輸入者の貿易手続上の事務負担軽減の観点から、女子用のブラウス等(綿製)に係る「ししゆうしたもの等」と「その他のもの」の税細分を統合・簡素化し、関税率(基本税率)を統合前の各細分における税率のうち低い水準に統一する。【図:税細分統合のイメージ】3. 海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化越境電子商取引の進展に伴い、海外事業者と日本国内の個人との間の直接取引による模倣品(特に商標権関連)の輸入が増加しているところ、(海外の輸出者が事業者であっても)事業性のない者により輸入される模倣品(いわゆる個人使用目的で輸入される模倣品)は、税関での取締対象となっていない。近年、税関の認定手続(侵害物品か否かを認定するための手続)において、輸入者から、事業性のない者であること等を理由として争う旨の申出が提出される件数が増加している。こうした状況に対応するため、令和3年5月に成立・公布された特許法等の一部を改正する法律による改正商標法及び意匠法において、海外事業者が模倣品を郵送等により日本国内に持ち込む行為が、権利侵害行為となることが明確化された。これを踏まえ、改正商標法及び意匠法の施行に合わせ、海外事業者から国内の事業性のない者に宛てて郵送等で持ち込まれた模倣品(商標権等侵害物品)を関税法の「輸入してはならない貨物」として規定するとともに、事業性のない輸入者は関税法上の罰則の対象としないこととする。また、税関の認定手続一般において、疑義貨物を輸入しようとする者が、当該貨物が侵害物品に該当しない旨を主張する場合に、税関長が当該者に対して、その旨を証する書類の提出を求めることができるよう規定を整備する。【図:改正商標法及び意匠法の概要】4. 通い容器に係る免税手続の簡素化の対象の拡大本邦から輸出された通い容器(貨物運送用の反復使用される容器)であって再輸入されるもの及び本邦に輸入される通い容器でその輸入の許可の日から原則として1年以内に再輸出されるものは、輸入の際に関税及び消費税を免除することとされている。また、輸出入双方のAEOの承認を受けている同一の者(AEO輸出入者)が扱う特例申告を利用した貨物については、一部提出書類を不要とする等、簡素な免税手続(簡素化)が可能となっている。これについて、AEO輸入者及びAEO輸出者は、貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された者として予め税関長の承認を受けた者であることから、通い容器の取引において輸入者と輸出者が異なる場合でも、それぞれがAEO輸入者及びAEO輸出者の承認を受けていれば簡素化の対象とする。また、AEO輸入者は通常の輸入申告においても適正な申告が期待できることから、通常の輸入申告貨物についても簡素化の対象とする。なお、簡素化の対象を輸入者と輸出者が異なる場合に拡大するにあたっては、現在はAEO輸出入者に委ねられている通い容器の輸出入状況についての自主管理を、免税の恩恵を受け、用途外使用等があった場合の納付義務を負うAEO輸入者に委ねる。 ファイナンス 2022 Feb.17令和4年度予算特集:1令和4年度税制改正(関税)について 特 集
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