ファイナンス 2022年2月号 No.675
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対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士制度を見直すこととしている。具体的には、・税理士は、業務のICT化等を通じて納税義務者の利便の向上等を図るよう努めるものとする旨の規定を創設する・若年層の税理士試験の受験を容易にし、多様な人材確保を図るため、受験資格の緩和を実施する等の措置を講ずる。(資料7)(2) 記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応適正な記帳や帳簿保存が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大であり、行政制裁等を適用する際の立証に困難を伴う場合も存在する。記帳義務の不履行や税務調査時の簿外経費の主張等に対する不利益がない中では、悪質な納税者を利するような事例も生じているところである。これらを踏まえ、記帳義務及び申告義務を適正に履行する納税者との公平性の観点に鑑み、帳簿の不保存・不提示や記帳不備に対し、過小申告加算税等の加重措置(+5%又は+10%)を講ずるとともに、証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置を創設することとする。(3)財産債務調書制度の見直し財産債務調書制度について、提出期限を後倒しするなど提出義務者の事務負担の軽減を図るとともに、適正な課税を確保する観点から、現行の提出義務者に加えて、特に高額な資産保有者については所得基準によらずに本調書の提出義務者とする措置を講ずる。(4) 税務手続のデジタル化・キャッシュレス化による利便性の向上デジタル技術を活用し、納税者が簡単に手続きを行うことができる環境の整備を行うことが重要であるとの観点から、登録免許税や自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設等を行う。(資料8)資料7ウィズコロナ・ポストコロナの新しい社会を見据え、税理士の業務環境や納税環境の電子化といった、税理士を取り巻く状況の変化に的確に対応するとともに、多様な人材の確保や、国民・納税者の税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士制度の見直しを行う。税理士制度の見直し(案)○税理士の業務におけるICT化の推進○税理士会等における会議招集通知・委任状の電子化○事務所設置規制の見直し(物理的な事務所判定基準の撤廃)○税理士名簿等を作成可能な電子記録媒体の明確化○税務代理の範囲の明確化○税理士試験の受験資格の見直し(会計学科目の受験資格の不要化、税法科目の受験資格(学識)に係る履修科目要件の緩和)○税理士法人の業務範囲の拡充(成年後見業務、租税に関する教育・普及業務)○税理士法人社員の法定脱退事由の整備(業務停止処分等により法人から脱退することの明確化)○税理士による申告書添付書面に関する様式の整備○税理士試験受験願書に添付する写真の撮影条件の撤廃等※1.ICT化とウィズコロナ時代への対応2.多様な人材の確保3.税理士に対する信頼の向上を図るための環境整備4.その他○懲戒逃れを図る税理士等への対応※税理士調査に係る調査・協力要請規定の整備元税理士に対する「懲戒処分相当であったことの決定」処分の創設○税理士懲戒処分の除斥期間の創設(10年)※国税庁のみ要望14 ファイナンス 2022 Feb.特 集

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