ファイナンス 2022年1月号 No.674
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世界ジオパークへ ようこそ神戸税関境税関支署西郷監視署 監視署長日野 和彦1はじめに神戸税関境税関支署西郷監視署は、島根半島の北方約50kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島に所在しています。隠岐諸島は、住民の住む4つの大きな島と他の約180の小島からなっており、人口は約1万9千人です。4つの大きな島はそれぞれ、中ノ島、西ノ島、知夫里島及び島後で、前3島は併せて「島前(どうぜん)」、もう一つの島は「島後(どうご)」と呼ばれています。この島前(どうぜん)、島後(どうご)の呼び名については、古来の山陰道(本土側)から見て、手前を道前、後ろ側を道後としたのが語源といわれています。隠岐諸島は、火山活動により形作られて以降、波の浸食等により特徴的な岸壁、岩等が生み出されるなど風光明媚なところが多く、島全体が大山隠岐国立公園に指定されているほか、2013年には「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されました。隠岐は対馬海流が近くを流れるなど海流の関係から魚種も多く絶好の釣りスポットであり、島外からも多くの釣り人が訪れます。隠岐を訪れるにはフェリー又は高速船を利用する方が多いですが、隠岐唯一の空港である隠岐空港も利用できます。近年、空港には愛称が付けられることがあり、山陰でいえば、出雲縁結び空港(出雲空港)や鳥取砂丘コナン空港(鳥取空港)、米子鬼太郎空港(米子空港)などがありますが、隠岐空港も例外ではなく、2015年にその名も「隠岐世界ジオパーク空港」という愛称が付けられました。2西郷監視署隠岐諸島における税関官署は、明治32年(1899年)設置の「西郷税関監視署」が始まりです。その後、出張所への昇格、廃止、再開そして二度目の廃止を経て、平成19年(2007年)7月に「境税関支署西郷監視署」として再び設置され、現在に至ります。西郷監視署は、隠岐諸島全域を管轄としており、拳銃や覚醒剤などの社会悪物品の密輸阻止を目的として、日々漁港や海岸線を巡回するとともに、警察署や海上保安署などの取締関係機関及び町役場などの関係先と連携強化、情報共有を図っています。3隠岐諸島について(1)隠岐諸島の成り立ち隠岐を造り出したのは、約600万年前から約550万年続いた二つの大きな火山活動でした。その後、氷河期における海面低下(日本列島と陸続きに)、地球温暖化による海面上昇を経て、約1万年前に隠岐は現在のような離島になったといわれています。隠岐はその成り立ちから、北海道で見られる植物と沖縄で見られる植物が同じ場所で生育しているなど不思議な生態系をもっています。また、離島という環境から、本土では一般的な熊や鹿などが生息しておらず、オキノウサギやオキサンショウウオなど隠岐固有の種が多く生息しています。隠岐81 ファイナンス 2022 Jan.連載各地の話題

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