ファイナンス 2022年1月号 No.674
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ライマリーバランスの黒字化目標の達成のためには、社会保障を持続可能にするための改革など、歳出・歳入両面の改革をしっかり進めていく必要があります。特に、歳出増が続く社会保障分野においては、診療報酬のメリハリある改定や実勢価格の動向を反映した薬価改定に加え、後期高齢者医療の患者負担割合の見直し、被用者保険の適用拡大等の制度改革を着実に実施し、社会保障関係費の伸びの抑制を図ってまいります。そして、国際関係に目を向けると、新型コロナウイルス感染症による危機から世界経済の回復を図るとともに、ポストコロナを見据えて持続可能な経済成長を目指す取組が進展しています。昨年10月には、経済のグローバル化・デジタル化に対応するため、約140の国・地域が、100年来続いてきた国際課税原則の見直しに合意しました。日本はこの議論を当初から一貫して牽引してきました。12月には、低所得国支援で中心的な役割を担う世界銀行グループの国際開発協会(IDA)について、通常3年に一度の増資を日本が主導して史上初めて1年前倒し、史上最大の930億ドルの支援規模を達成しました。日本は増資交渉の最終会合を主催し、3,767億円の貢献を表明しました。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が本年1月1日に発効するなど、自由貿易を通じた持続可能な経済成長の取組も進展しています。今後も関係各国や国際機関等と緊密に連携し、グローバルな課題の解決に積極的に取り組んでまいります。最後に、財務省は、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という組織理念を踏まえ、コンプライアンス・内部統制が実質的に機能し、時代にふさわしい働き方の中で、常に国民の視点に立って高い価値を社会に提供できる組織風土を創りあげることを目指し、引き続き組織改革に取り組んでまいります。国民の皆様から期待され信頼される組織を築くため、地方支分部局を含めた財務省全体で、歩みを止めることなく着実に改革を進めてまいりたいと考えております。本年は、新型コロナウイルス感染症による危機を乗り越え、「新しい資本主義」という数世代に一度の歴史的挑戦を始める一年にしていきたいと考えております。様々な政策課題に対応するため、本年も、副大臣・政務官とともに全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。3 ファイナンス 2022 Jan.

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