ファイナンス 2022年1月号 No.674
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コラム 経済トレンド91大臣官房総合政策課 調査員 山口 晶子/髙根 孝次未婚化の進行とマッチングアプリ本稿では、日本における未婚化の現状と課題を分析した後、その解決策となり得るマッチングアプリの活用と課題について考察する。国内で進行する未婚化・国内の未婚率は、1980年以降上昇しており、足元では高止まり状態となっている(図表1)。・未婚化が進行しているものの、依然として34歳以下未婚者の約9割弱が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、結婚意思の喪失から未婚率が上昇したわけではなく、他の要因が影響しているとみられる(図表2)。・未婚化進行の背景の一つには見合い結婚の減少が考えられる。見合い結婚に代わり、恋愛結婚が主流となることで(図表3)、多くの人が結婚相手を自ら探す必要に迫られるようになった。中でも、結婚に至るまでの「未婚→交際→結婚」のフローにおいて、各ステップの実現確率の調査によると、最初の「未婚→交際」のステップにおける実現確率は29.5%と「交際→結婚」よりも低く、ハードルが高いことが窺える(図表4)。(図表1)男女別未婚率の推移25~29歳30~34歳35~39歳010019808590952000男性女性05101519808590952000051015(%)01008080606040402020(%)(図表2)将来の結婚意思質問:「自分の一生を通じて考えた場合、あなたの結婚に対するお考えは、次のうちどれですか。」(注)対象者は18~34歳の未婚者。いずれ結婚するつもり一生結婚するつもりはない0100200520102015男性女性(%)80604020010020052010201580604020(%)(図表3)恋愛結婚・見合い結婚の構成率の推移恋愛結婚見合い結婚195060708090200010150100(%)80604020(図表4)未婚→交際→結婚のフローにおける実現確率未婚交際結婚恋人がほしい人のうち、実現した確率恋人がいて結婚がしたい人のうち、実現した確率58.9%41.1%29.5%70.5%恋人ができた(n=4,710)(n=3,262)できなかった結婚ができたできなかった未婚化進行の背景にある未交際化・未婚者のうち、現在交際者がいない者の割合は足元では増加傾向にあり、未婚化だけでなく未交際化も進行していることが窺える(図表5)。・恋人がいない理由の回答としては、多くの人が「出会いがない」「異性との出会いの場所が分からない」ことを挙げており、恋人を自ら探すにあたっての最大の障壁であると言える(図表6)。・恋人を欲している未婚者のうち、恋人をつくるにあたって理想とする出会い方に関して、職場や学校・サークルを通じた日常生活の中での出会いを求める層が6割を超えている(図表7)。その理由は必ずしも明確ではない(図表8)が、相手の性格について深く知る機会や、自分と同じ価値観の人と出会うことのできる機会が、職場や学校・サークル以外でも存在すれば、多様な出会い方が選択肢に含まれていくことになるだろう。(図表5)未婚者のうち、交際者がいない割合の推移69.8%59.1%男性女性(注)対象者は18~34歳の未婚者。080604020198792972002051015198792972002051015(%)705030100604020(%)8070503010(図表6)恋人がいない理由(複数回答)1.87.921.321.523.625.325.926.527.128.532.535.753.4その他特に理由はない経済的な問題があるから性格に問題があるから恋愛交際の進め方が分からないから今は好きな人がいないから容姿が劣っているからどうしたら恋人になれるのか分からないからどのように声をかけてよいのか分からないからコミュニケーション力に問題があるから異性に対する魅力に自信がないから異性との出会いの場所が分からないから出会いがないから6040200(%)(図表7)最も理想とする出会い方職縁33%その他 11%SNS 2%学校・サークル30%地縁・血縁・お見合い10%友人紹介(合コンを含む)10%婚活サービス4%(n=4,200)(図表8)職縁を望む理由(複数回答)(n=1,390)自分と同じ価値観の人と出会えるから頻繁に相手と会えるから相手の性格について深く知れるから一般的・普通だから理由はない3020100(%)61 ファイナンス 2022 Jan.連載経済 トレンド

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