ファイナンス 2022年1月号 No.674
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あけましておめでとうございます。令和4年の年頭に当たり、謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、我が国の経済財政運営等につきまして所感を述べさせていただきます。一昨年来、日本社会は、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けております。今回の感染症でお亡くなりになられた方々、そしてご家族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、日本の医療、保健、介護の分野だけでなく全ての現場を支えて下さっている方々、感染対策に協力して下さっている事業者の方々、そして、国民の皆様に、深く感謝申し上げます。依然として新型コロナウイルス感染症との闘いは続いており、新型コロナウイルス感染症による危機を乗り越え、未来を切り拓いていかなければなりません。まずは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めるとともに、ウィズコロナの下で早期に社会経済活動の再開を図ってまいります。そして、新型コロナウイルス感染症による危機を乗り越えた先に、経済社会の変革、すなわち「新しい資本主義」の実現に取り組んでいかなければなりません。新型コロナウイルス感染症以前より、主要先進国をはじめ、世界中で、今までの経済社会・資本主義のあり方を見直す動きが芽吹き始めていたところ、新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、その動きが加速しています。このような世界の潮流の中において、日本では、「新しい資本主義」を掲げ、官民協働のもと、経済を成長させ、その果実を原資として、しっかり分配に取り組むことで、国民の所得を引き上げる、そして所得が上がることで消費が喚起され、次なる成長を生み出していくという「成長と分配の好循環」を実現してまいります。その結果、格差や貧困、気候変動問題といった社会課題を解決するだけでなく、力強い成長を実現し、分厚い中間層を取り戻し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げることができると確信しております。こうした日本が示す新しい経済社会ビジョンたる「新しい資本主義」は、経済社会の変革という数世代に一度の挑戦に向き合う中で、日本が世界をリードし、諸外国から評価され、模範とされる国となるための「国家戦略」です。そして同時に、日本が持つ潜在能力を存分に発揮し、全国民が力を合わせて、豊かで持続可能な社会を作り上げ、さらにそうした社会を次の世代につなぐための、未来を切り拓く「希望」です。何としても我々がこの「国家戦略」・「希望」を現実のものとしなければなりません。令和4年1月財務大臣年頭所感財務大臣鈴木 俊一1 ファイナンス 2022 Jan.

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