ファイナンス 2022年1月号 No.674
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・2050年カーボンニュートラルや2030年度削減目標の達成には、民間企業の技術や資金を積極的に活用していくことが不可欠であり、予算、税だけでなく、金融、規制改革・標準化、国際連携といったあらゆる政策を総動員する必要。特にエネ特事業については、民間の自主的な取組を促す等の観点から、施策の必要性・有効性・効率性を不断に検証し、抜本的に見直し、重点化すべき。・地球温暖化対策を行っていくにあたっては、ペイアズユーゴー原則を守り、将来世代に負担を先送りしないよう必要な財源を確保しながら取組を進めるべき。6.グリーン(エネルギー・環境)・新型コロナによる影響は事業者によって様々である中で、事業者の置かれた状況に応じて、支援を重点化すべき。・マクロでみた債務過剰感は限定的である一方、個別にみれば債務が過大となった事業者も存在するため、事業再生支援を強化すべき。・コロナ禍の創業や事業承継の減少による経営資源の散逸等を防ぐため、事業承継支援を強化すべき。7.中小企業・ODA予算については、二国間協力と多国間協力を総合的にとらえて対応するとともに、国際社会の変化に機敏に適応して、支援分野や対象地域を重点化すべき。・無償資金協力については、予算の交付方法や交付後の資金管理の在り方、一定期間が経過した事業に係る資金の国庫返納など、適正化を図り、実行に移していくべき。・JICA予算については、デジタル技術を活用した業務効率化の取組を進め、予算の効率的な執行につなげていくべき。・在外公館については、PDCAサイクルを徹底することを通じて、新設のみならず降格やスリム化、廃止を含めて検討すべき。8.外交関係・防衛関係費の水準の在り方については、防衛関係費とそれに見合う国民負担の水準、公共投資や科学技術など他経費とのバランス、我が国がとるべき戦略等を議論した上で、検討することが必要。・限られた資源の下、我が国の防衛力の質・量を適切に確保するための調達改革の取組、新領域(宇宙・サイバー・電磁波)等の新たな専門性に対応した人材施策の見直しも、引き続き進めるべき。10.防衛・政府情報システムの運用及び改修経費の3割削減目標や業務改革等について、今後どのように進めていくのかを、デジタル庁主導で関係府省と早急に検討を行い、ロードマップなどの形でとりまとめることが必要。・マイナポータルについて、利用者目線に立ち、使い勝手を良くするなどして、アプリ評価向上などに向け、デジタル庁において適切なKPIを設定し抜本的改善を図るべき。9.デジタル・人口減少・厳しい財政事情・民間部門の資金余剰等の構造的課題を踏まえて、文教・科学技術分野の予算の質を高めていくべき。・限られた人的リソースを前提とし、小学校高学年の教科担任制を推進する場合は、小中連携・授業交換・オンライン授業の工夫等、定数増に頼らない工夫も必要。・限られた財政資金を有効に活用すべく、博士課程の質の向上や国大運営費交付金の配分のメリハリ強化に取り組むとともに、研究活動の国際性向上や効率的な研究資源配分等により科学技術の投資効果を引き上げる必要。・民間資金獲得のインセンティブを強化するため、文化関係の補助金等の仕組みを見直し。3.文教・科学技術・「量」から「質」への転換の更なる進展に向けては、インフラ整備の各分野において、これまで以上にソフト対策とハード対策を一体のものとして効果を最大化させるため、地方公共団体・住民・民間事業者等、あらゆる関係者の行動変容を促すことが重要。・防災・減災対策については、国土政策的な観点を踏まえ、各取組を評価し改善するプロセスを確立していくとともに、原形復旧によらずに効率的な復旧・復興を行う場合のインセンティブ強化など各取組の改善を推進すべき。・建設業をはじめとする生産性の向上・効率化等や適切・効率的な老朽化対策といった課題への対応についても、予算の質の向上に向け、各取組の進展を図るべき。4.社会資本整備・一般財源総額実質同水準ルールの下、国と地方が足並みを揃えて経済再生と歳出改革に取り組み、生じる財源余剰を活用し地方公共団体の臨時財政対策債や交付税特会の借入金の圧縮を行うなど、国・地方を通じた財政の健全化につなげていくことが重要。・新型コロナ対応に関し、地方創生臨時交付金の使途について、国費による支援が真に必要なものか精査・検証を行うとともに、適切な効果検証が行えるようKPIの設定等を行うべき。また、国から地方への財政移転の規模が適切なものであったか、基金残高の増減要因も含め検証していく必要。・地方財政計画のいわゆる「枠計上経費」の適正化に向け、計画と決算の比較が可能となるよう工夫を進め、PDCAサイクルを回す必要。・地方行財政の効率化のため、社会保障制度の運用の適正化、インフラの広域化や規模の適正化(「省インフラ」)、PFS方式の契約やESG債の活用による民間資金・サービスの活用など、地方公共団体における取組を進めることが重要。2.地方財政・米政策に関して、大規模な農業経営体が、収益性が低く補助金の多い転作作物を作付けする傾向にあることから、水田農業の生産性を高めつつ、転作助成金の財政上の持続可能性を高めていくために、輸出用米や高収益作物の作付けを促していくべき。・農業人口の減少が進む中、農地の生産性を高めるために、農地バンクの抱える諸課題を踏まえ、農地の集積・集約を更に高めるべき。・農林水産物・食品の輸出5兆円目標の達成に向け、民間の品目別団体に関する諸外国の取組も参考としながら、高品質に見合う価格で利潤をあげつつ、マーケットインの取組強化を図るべき。5.農林水産17 ファイナンス 2022 Jan.財政制度等審議会「令和4年度予算の編成等に関する建議」について SPOT

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