ファイナンス 2022年1月号 No.674
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襲ってきました。その意味ではタイミングが悪かったのですが、どうすれば地域経済を興していけるかを考えたときに、一つは外との関係がコロナで全く隔絶された状態ですので、外の消費が全く中に入ってこないという一つの現実がありました。また、市民のみなさんがお金を使わなくなったり、自粛したりした影響で、私どもも含めた金融機関に非常に多くの貯蓄がたまってしまいました。それは経済がいびつになっていることを意味します。この貯蓄をどうしたら消費のほうに向けていけるか、それが経済対策だろうとのことで、地元の消費を徹底的に掘り下げていこうと考えて地元消費の促進運動を行っています。私どもで地元消費促進協議会を運営していましたので、それを活用して、テイクアウトを奨励する「がんばれ糸魚川のお店!」、「さきめし」のサポートチケット、あるいはクーポンブックの「糸魚川得本」の販売などを市役所や商工会議所と連携しながらやっています。糸魚川信用組合 理事長黒石 孝 さん商工会議所と連携した 地元森林資源の地産地消への取組小野総括審議官 ありがとうございました。猪又様お願いします。猪又代表取締役 株式会社カネタ建設代表取締役の猪又です。弊社は今年で創業88年となる総合建設業です。また、グループ内はタクシー会社もありますし、10年前からは介護サービス事業をスタートしました。それらも含めて交通、住宅、不動産、介護まで地域の住生活を支える「暮らしワンストップサービス」を目指して取り組んでいます。糸魚川市の全産業の付加価値額のうち約2割を大手の製造業の数社、次いで1割強を私たち建設業が占めています。構造的には特定産業の下請けや公共工事の比率が非常に高く、飲食、小売り、宿泊などのサービスの人たちもそこに大きく依存しているのが地域の特徴だと思います。そうした環境の中で経営者としては、新たな収益源をつくっていかなければいけないのですが、地方では深刻な少子高齢化による人材不足がありますし、DXへの対応も遅れています。その中で地元企業の共通の課題を地域全体で解決しようと、商工会議所が旗振り役になり外部有識者を巻き込んだ産官連携組織「糸魚川産業創造プラットフォーム」を立ち上げました。私はその中で地元の森林資源の地産地消に取り組んでいます。糸魚川は面積の87%が森林ですから、その分野で頑張ろうと「緑でつなぐ未来創造会議」というチームを担当しています。現在、川上から川下までの関連企業が20社ほど集まり市・県の担当者と共に商品開発や地元材のブランディングなどを進めています。また、その取組に共感した県外の専門人材も参画してくれるようになっています。株式会社カネタ建設 代表取締役猪又 直登 さん糸魚川の観光資源を 世界の旅行者に発信小野総括審議官 ありがとうございました。伊藤様よろしくお願いします。伊藤代表取締役 株式会社イールーの伊藤です。私は旅行業を営んでいまして、東京の江東区深川と糸魚川の2拠点を行き来しながら暮らしています。住民票は9 ファイナンス 2022 Jan.

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