ファイナンス 2022年1月号 No.674
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油価格の上昇で物流コストが上がっています。都市圏に私たちが商品を出していくときに、どうしても距離に応じた運賃がかかってしまいます。これまでは、高付加価値の商品をつくることでコストの上昇を乗り切る方法もありました。しかし、コロナ禍のように大きく社会が変わってしまうときは、多少のリスクヘッジのために多方面に商品を出していかなければいけません。するとやはりコストの問題が出てきます。地方の産業が都市部の消費地を目指すときに、距離に対してフラットになるような施策を実施していただければ、非常にありがたいと痛切に感じています。加賀の井酒造株式会社 第18代蔵元取締役小林 大祐 さん小野総括審議官 ありがとうございました。お三方からさまざまなお話がありましたが、ここまでで鈴木大臣からご感想、ご質問ありましたらお願いします。鈴木大臣 ありがとうございます。成長と分配の好循環を生み出すためには、地方においてもまずは成長戦略にしっかり取り組むことが大事だと考えています。松本さんは地域に今まであった資源を活用していらっしゃいます。しかも産卵のために上がってくる鮭ですから、これまで身の方は商品にしにくい面がありました。それを使って魚醬を作る取組を学校のクラブ活動で始めて、それが会社になりそして従業員の方も10名ぐらいになったそうで、まさに地域資源の活用であり、地域の活性化に大切な取組をしていらっしゃいます。これまでは廃棄されていたものが付加価値を生むという大変素晴らしい取組だと思いました。私たちも人への投資を重視しており、これからIT化、デジタル化が進んでいきますが、新しい時代に向けて地方においての人材育成が大切であることがよく分かりました。中村さんからは漁をしながら漁業組合の施設で加工品作りをしておられるとのお話をうかがいました。漁業はただ魚を取るだけではなく、一歩踏み込むことで新たなビジネスモデルが生まれると感じました。加賀の井酒造さんの創業は1650年とのことです。こうした伝統はお金で買えるものではありません。そのブランドをしっかり基礎に置きながら新しい時代をしっかり認識して、新たな販路の開拓を進めていらっしゃることがよく分かりました。また、中村さんと小林さんに共通するお話として、やはり原油高は日本のあらゆる企業にとってコスト高につながります。政府も関心を持って対応していますが、現場のみなさんが非常に心配されておられることがよく分かりました。コロナ禍で増えた貯蓄を 消費につなげる取組を展開小野総括審議官 ありがとうございました。では、続いて黒石様お願いします。黒石理事長 糸魚川信用組合の理事長をしております黒石です。さきほど加賀の井さんから大火の話がありましたが、私どもも被災地に支店が1つありまして、一部ですが類焼しました。地元金融機関にとって大火からの復興は非常に大きなテーマでした。関東財務局の主導で糸魚川市復興フォーラムを立ち上げていただき、復興のために何ができるかを検討しました。最終的に「糸魚川復興マルシェ」と「被災地の創業支援」の2つに絞って取り組んできました。復興事業を進めるに当たってタスクフォースを結成して、私が座長を仰せつかり進めてきたわけです。糸魚川復興マルシェは大火の翌年にスタートしていまでも続いています。創業支援のほうでは、被災地を含めた「ロの字商店街」をつくりました。これはロの形になっている商店街ですが、その中で起業・創業の働き掛けをしてきました。多くの方々にご協力をいただいて、若い人たちから小さな事業が幾つか生まれています。何とか街も元気が出始めていたのですが、新型コロナウイルスが ファイナンス 2022 Jan.8鈴木大臣が訪問車座対話in糸魚川を開催特集

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