ファイナンス 2021年12月号 No.673
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1はじめにハート形の地形南城市は平成18年1月1日に旧玉城村、旧大里村、旧佐敷町、旧知念村の1町3村が合併し誕生した、人口約4万5千人、面積49.94km2の市です。地形がハートの形になったことから、「ハートのまち」として全国へ発信しています。合併により様々な課題がある中で、課題解決に向けた取り組みを2つご紹介します。2旧庁舎の活用合併後、分庁方式にて市民サービスを提供してきましたが、市民が各種手続きを行う際に庁舎間の移動が発生するなど市民サービスに支障をきたしていることや、両庁舎の維持管理等にコストを費やしている状況を改善するため、新庁舎建設が決定しました(平成30年5月より供用開始)。それにより閉鎖され遊休施設となる2つの庁舎の活用方法が検討されました。旧大里庁舎は、平成12年に建設された地下1階地上3階建、延床面積は5,164m2。県庁所在地の那覇市へのアクセスや隣接町村との交通の便もよく、商業施設が近くにあるなど有利な条件が揃っていました。旧玉城庁舎は平成7年に建築された地下1階地上3階建、延床面積4,963m2。周辺には小中学校など旧玉城村の中心的機能が集積している一方、静かな住宅街でもあります。本市の地域活性化や雇用の促進を目的とし、民間事業者からの提案を公募。プレゼンテーションによる審査で優先交渉権を得た企業と賃貸借契約に向けて交渉を行いました。交渉の結果、旧大里庁舎については、平成29年12月にソニーグループのバックオフィス業務を行うソニービジネスオペレーションズ株式会社と賃貸借契約を締結。賃料や税金などの収入の増加、若者の就労の場の確保に寄与しています。旧玉城庁舎については、平成30年3月に国際バカロレア教育課程認定校を運営する株式会社オキナワインターナショナルスクールと賃貸借契約を締結。小学部から高等部まで約140名の子供たちが学んでいます。20年という長期契約を結ぶことで、将来的に国際社会から必要とされる郷土愛を持ち、地域貢献する気概にあふれた人材の育成が期待されます。3地域公共交通の再編合併当初のバス路線は、各町村から県庁所在地の那覇市へ向かうルートとなっており、旧4町村の拠点等に連絡されておらず、合併後の新たな人の流れに対応した公共交通ネットワークとなっていませんでした。このため、徒歩や自家用車等を含めた全ての移動手段のうち公共交通の割合は3%と低く、移動が不便な状況となっていました。このような状況において、まず市内における交通弱者の移動手段を確保するため、平成24年度からデマハートフルなまちづくり~合併後の課題解決~南城市総務部財政課 主任主事村山 千寿南城市78 ファイナンス 2021 Dec.連載各地の話題

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