ファイナンス 2021年12月号 No.673
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ソーシャルインパクトボンドを活用した介護予防事業豊田市未来都市推進課 担当長丹羽 広和1はじめに写真(1) 〈「ずっと元気!プロジェクト」〉豊田市は、合同会社Next Riseソーシャルインパクト推進機構(以下、「NRS推進機構」という。)とともに、新しい官民連携の仕組みであるソーシャルインパクトボンド(以下、「SIB」という。)を活用した介護予防の取組として「ずっと元気!プロジェクト」に取り組んでいます。本プロジェクトは、介護保険給付費の10億円の削減を目指し、5年間で最大5億円をかけ、年間5,000人の参加を図る、全国でも最大規模のSIB事業として実施します。これにより、新型コロナウイルスの影響により外出機会が減少した高齢者の方のフレイル予防を推進します。2取組の概要SIBとは、行政が民間資金を活用して行う成果連動型の事業で、社会課題を解決する新たな官民連携の手法です。このSIBを活用し、民間の資金や創意工夫により、高齢者の介護リスクを低減させる事業を行い、行政はその成果に応じて成果報酬を支払うことで、社会課題の解決に結びつけることを狙いとしています。写真(2) 〈SIB事業のスキーム〉3取組のきっかけ豊田市は、NRS推進機構を設立した(株)ドリームインキュベータと、SIBの活用に向けた調査・研究に関する覚書を締結(2020年2月)し、SDGsを含む社会課題解決のための構想を描き、その実現のために様々な分野でSIBを活用していくための検討を進めてきました。豊田市においては、団塊の世代の後期高齢化、いわゆる「2025年問題」に対し、これまでも重点施策として取り組んでいましたが、新型コロナウイルスの影響により、高齢者の外出機会が減少し、コロナフレイルとも呼ばれる、自宅に閉じこもりがちになることで心身が衰え、介護リスクが上昇するという状況に対し、予防に早急に取り組む必要があることから、介護予防分野において、SIBを活用することとしました。また、行政サイドにおいては、新型コロナウイルス対策に人的リソースが必要となったことで、要介護リ豊田市74 ファイナンス 2021 Dec.連載各地の話題

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