ファイナンス 2021年12月号 No.673
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で働くのか。ボランティア、コンビニ、公衆浴場、ボーイスカウト、これらが全部「やるしかない」と力を合わせたからやり遂げられた、ということだと思います。地デジボランティアの活動事例1ボーイスカウト埼玉・越谷のボーイスカウト団が、4月24日(日)、新越谷駅前にて、20名でチラシ約400枚を配布しつつ、デジタル化を促す声かけ活動を行った。(3月13日に予定していたが、震災により延期していたもの)2民生委員静岡県の民生委員20団体約2,500人が民生委員の活動として対象世帯を訪問した際に、デジタル化を促す声かけを実施。デジサポによる訪問の希望のある方はデジサポ静岡へ連絡し、後日戸別訪問を実施。3ヘルパー(入浴ケアサービス)青森市で入浴ケアサービスを行う事業者のヘルパー12名から、訪問入浴利用のご家族の方に対し、チラシ約100枚と相談先電話番号を記したカードを配布しながら説明、地上デジタル放送のPR。4コンビニエンスストア5公衆浴場新潟市内の20浴場(市公衆浴場共同組合加入)で、ポスター・チラシ・カードによる周知を実施(チラシ約400枚、カード約200枚)。銭湯の経営者は、入浴客の殆どの方と面識があるため、世間話の中で、番台から地デジ化の声かけやデジサポへの相談勧奨を実施。6乳飲料製造販売会社(自治体との連携)福井市の長寿福祉事業「一人暮らし高齢者見守り事業」を乳飲料製造販売会社(ヤクルト)が受託。一人暮らしで65歳以上の高齢者のうち見守りが必要と思われるお年寄り約500人に乳酸菌飲料を配布する際に、デジタル化を促す声かけとチラシを配布。7タクシー秋田県ハイヤー協会加盟のタクシー事業者107社、1,780台の乗務員が、乗客に対してデジタル化がお済みであるかどうかを伺い、未導入の方やどうすれば良いかわからない方へは、カード・チラシを配布。コンビニエンスストア(ローソン)が、7月5日より8月15日まで、全国8,600店舗(岩手・宮城・福島各県を除く)で高齢者等の顧客に対して、地デジ化の声かけ等を実施。店頭での小旗掲出、レジでの声かけとコールセンターの番号の入った資料配付を行う。7https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitalbroadcast/forum/dai11/pdf/siryou1.pdf7.2021年:デジタル社会の創造デジタル社会をつくるときに「一人も置いてきぼりを作らない」という目標を掲げました。「完全デジタル化」ですから、みんなで助け合わなければいけない、ということを私はずっと提案しています。その背景には、テレビ放送をデジタル化したときの経験があるのです。「一人残らず」というのは無理です。全員がスマートフォンを使ってください、というのは無理ですが、この国はデジタル社会の中で困っている人を助けることはできると思うのです。人が人に対して慮る、災害のときは助け合う、そしてコミュニティが強いことが日本の強みです。グローバル社会の中で、日本がどういう力を持つことができるのかということに対して、私は個人的には楽観的な発想を持っています。「It’s now or never!」というタイトルでお話しましたが、歴史的な現在の技術的な背景、NTNの出現、新しい光ファイバーケーブル、そして、地政学との関係での経済安全保障、こういったことを考え合わせると、きちんと権限を持った役所が総理の下にできるということは、大変歴史的な、大きな意味を持つのではないかと思っています。講師略歴村井 純(むらい じゅん)慶應義塾大学教授、内閣官房参与(デジタル政策担当)工学博士(慶應義塾大学・1987年取得)1984年、東京工業大学と慶應義塾大学を接続する日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。1988年、インターネット研究コンソーシアムWIDEプロジェクトを立ち上げ、日本におけるインターネット普及の先頭を走ってきた。2011年、日本人初の「IEEE Internet Award」を受賞。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。内閣官房参与、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。「日本のインターネットの父」として知られる。『インターネット』(岩波新書)、『インターネット新世代』(岩波新書)、『DX時代に考えるシン・インターネット』(インターナショナル新書)など著書多数。70 ファイナンス 2021 Dec.夏季職員トップセミナー 連載セミナー

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