ファイナンス 2021年12月号 No.673
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純正画一な貨幣を安定的に供給するとの使命を変わることなく果たしてきた。さらに、貨幣の製造技術や職員の技能を活かし、明治10年には勲章の製造を、昭和4年には貴金属製品の品位証明業務を、昭和50年には貨幣セットの製造・販売を開始した。これらの営みを始めたこと自体がまさにそうであるように、造幣局は、新たな社会的・公共的需要の発生やその変化にも適切に対応しながら、その時々で求められる役割を今日まで全うしてきたところである。平成15年には財務省の特別の機関から独立行政法人へと大きく変貌を遂げたが、この際に定めた行動指針「信頼と挑戦」は、まさにそれまで貫いてきた造幣局の姿勢を体現するものであり、先人たちの時代といささかも変わることのない理念として、今日も役職員一人一人の中に息づいている。今後とも、これまでに築いてきた歴史と伝統を守りつつ、本局、さいたま支局、広島支局の三局体制で、引き続きそれぞれの地域の皆様に愛される取組を続けていくとともに、次の時代に向けて守っていくべき「信頼」を守りながら、役職員一丸となって「挑戦」を行い、時代の要請に応えたさらなる進化・発展を目指していく所存である。(2)記念式典10月4日、大阪市の本局において、地元自治体、財界、地域の代表者など多数の御列席の下、造幣事業150年記念式典が挙行された*4。式典では、秋篠宮皇嗣同妃両殿下にウェブ配信による御視聴を賜るとともに、秋篠宮皇嗣殿下からはビデオ・メッセージで「おことば」を賜った。その中で*4) 造幣局の創業記念日は4月4日であるが、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、ちょうど半年後の10月4日に式典を開催することとなった。「今から28年前の造幣局訪問の折、工場で一所懸命仕事に励んでおられた方々の姿が深く印象に残っている」、「造幣事業が国民の信頼を得て円滑に運営されているのは、長年にわたる向上心と努力による知識の蓄積と技能の向上、そしてそれらの継承のため後進を育成してきた賜物」との旨の労いのお言葉をいただいた。このことは我々造幣事業に携わる者にとってこの上ない光栄であり、明日への活力の礎として役職員一人一人の胸に刻まれたところである。また、式典終了後、両殿下には、オンライン・ビジット(インターネット中継)の形式により、我が国最高位の勲章である大勲位菊花章頸飾や文化勲章をはじめとする各種勲章の製造工程、本年11月から発行が開始された新500円貨幣の製造工程及び造幣博物館での各種記念貨幣等の展示の御視察を賜った。御視察では、職員に直接お声掛けされ熱心に質問を重ねられるなど、両殿下に造幣事業への御理解を深めていただく得難い機会となった。また、長年技術・技能の向上に勤しんできた職員が両殿下からお声掛けを賜ったことは、当該職員のみならず同僚一同にとっても大きな誉であった。このように、両殿下の御高覧及び「おことば」を賜るとの栄誉の下で、造幣事業150年記念式典を挙行できたことは、役職員一同にとって喜びの極みであり、これもひとえに関係官署の皆様はもとより、地元大阪の皆様、広島の皆様、平成28年9月まで東京支局を見守っていただいた東京の皆様、東京支局の移転先として受け入れていただいた埼玉の皆様をはじめ、多くの関係各位のこれまでの御支援の賜物である。ここに深く感謝申し上げる次第である。(記念式典の模様)(オンラインで造幣局の工場を御視察になる両殿下) ファイナンス 2021 Dec.11造幣局及び国立印刷局の150年記念式典について SPOT

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