ファイナンス 2021年11月号 No.672
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各地の話題結、安産の神として深く信仰されています。さらにその武徳は平和・外交の祖神として、勝運、交通安全、災難除けの神としても有名です。 ユネスコ無形文化遺産 佐原の山車行事~ 世界に届いた佐原の誇り ~佐原の大祭は、7月10日以降の金・土・日曜日に行われる八坂神社祇園祭と10月第2土曜日を中日とする3日間に行われる諏訪神社秋祭りの2つのお祭りの総称をいい、川越氷川祭・常陸國總社宮大祭(石岡のお祭り)とともに関東三大祭りの一つです。二層構造の山車の上部に、歴史上の人物の大人形、周囲に獅子や龍、物語等を題材にした豪華な彫刻が、下段に乗せた下座連が演奏する佐原囃子の音とともに歴史的町並み(国選定 重要伝統的建造物群保存地区)の中を曳き廻されます。八坂神社の祭礼である夏祭りは、本宿地区を10台、諏訪神社の祭礼である秋祭りは、新宿地区を14台の山車が曳き廻され、身の丈4~5mに及ぶ日本最大級の大人形の勇壮にして華やかな曲曳き「のの字廻し」などが披露されます。また、佐原囃子は、神田囃子、京都祇園囃子と並ぶ日本三大囃子の一つであり、笛・大皮・小鼓・大太鼓・小太鼓・すり鉢といった楽器により、15人程度で演奏されます。さらに、山車の前では手古舞の流れをくむ手踊りが披露され祭り気分は一層盛り上がります。この祭りの起源は資料がなく不明ですが、佐原は江戸中期から利根川舟運により繁栄し、その財力を背景に祭文化が発展し、また江戸との深い経済・文化の交流から江戸の山王祭や神田祭を強く意識し江戸より勝った山車祭りの実現を目標に形成されてきました。平成16年2月には「佐原の山車行事」として、「佐原囃子」とともに国の重要無形民俗文化財に指定され、平成28年11月30日には、佐原の山車行事を含む「山・鉾・屋台行事」が、「ユネスコ無形文化遺産」に登録されました。佐原の山車と囃子の形態は、市内の小見川地区、東庄町、多古町など、茨城県の潮来市、鹿嶋市、行方市麻生などに見られ、周辺地域の祭礼に大きな影響を与え、佐原を中心とする山車文化圏が約三百年にわたりその伝統を脈々と今に受け継がれています。 終わりに伊能忠敬記念館や香取神宮で歴史を感じたあとには、小野川沿いの飲食店やカフェでのんびりと一息つきましょう。佐原は鰻も有名であり、鰻を食べることができる店舗もたくさんあります。お昼前になると、店前には行列ができ、香ばしい匂いが漂ってきます。ふっくらとした柔らかい身に甘辛いたれがかかった「鰻重」は絶品です。また、古民家を生かしたレストランや、テレビドラマの撮影に使用された古民家カフェなど、小江戸さわらならではの雰囲気の中、食事をすることができます。都心からも近く、ゆったりとした一日を楽しめる「小江戸さわら」を、一度訪れてみてはいかがでしょうか。〔資料・写真提供:香取市〕 ファイナンス 2021 Nov.71連載各地の話題

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