ファイナンス 2021年11月号 No.672
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予約が入ったと報道されている。8月30日からは、利用者にパスサニテールの提示を求める施設等の従業員等に対して、雇用主にパスサニテールを提示する義務が課された(利用者がアクセスできない場所又は時間の勤務の場合を除く)。当該義務を履行することができない場合は、休暇や一時的な業務停止、勤務場所・勤務時間の変更を行うこととされている(解雇は原則として認められない)。さらに、9月30日からは、それまで18歳以上であったパスサニテールの提示義務が12歳から17歳の者にも課されることとなった。 4 パスサニテールの運用状況フランスでは、ワクチン接種完了時に紙のワクチン接種証明書を受け取ることとなっており、そこにデジタル証明書として機能するQRコードが印刷されている。パスサニテールの提示を求められた場合、このワクチン接種証明書のQRコードを提示してもよいし、仏政府の新型コロナ接触確認アプリ「TousAntiCovid」を通じてスマートフォンに保存した同じQRコードを提示することもできる。72時間以内のPCR検査の陰性証明についても、専用サイトで手続を行うことでパスサニテールとして機能するQRコードを入手することができる。パスサニテールを確認する側は、「TousAntiCovidVerif」というスマートフォンアプリによって、利用者から提示されたQRコードを読み取る方式が一般的となっている。確認者側のスマートフォンの画面には、パスサニテール保有者の氏名・生年月日とともに、パスサニテールの有効・無効が示される。筆者の個人的印象になるが、カフェ・レストランについては、8月9日のパスサニテール導入直後は、利用客に提示を求めない店もそれなりにあったが、二週間ほどすると、ほぼすべての店で入店時又は注文時に店員がパスサニテールの提示を求めるようになった。報道によると、パスサニテールの確認懈怠を取り締まるために、警察官がランダムで飲食店を訪れて、利用客のパスサニテールを確認しているようであるが、今のところ、そのような場面には遭遇していない。また、航空機や長距離バスでは、搭乗時・乗車時にチケットとともにパスサニテールを確認しており、TGVを初めとする長距離列車については、駅のホーム又は車内でランダムの確認が行われている。ホーム上でパスサニテールが提示できなかった場合は乗車不可となり、車内又は降車時に提示できなかった場合は135ユーロの罰金となる。パスサニテールを所持せずに駅に来てしまった乗客への対応として、SNCF(フ[パスサニテール提示者側のスマートフォン画面]※QRコードは偽物。[パスサニテール確認者側のスマートフォン画面]64 ファイナンス 2021 Nov.連載海外 ウォッチャー

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