ファイナンス 2021年11月号 No.672
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算出がなされています。各通貨によってパネル行が異なるのも特徴です(各通貨のパネル行は図3を参照してください)。また、満期までの期間については、「翌日、1週間、1か月、2か月、3か月、6か月、12か月」という7期間の金利が算出されています。6か月などの期間を持った金利を「ターム物金利」といいますが、米ドルの場合、3か月物、円金利の場合、6か月物が実務ではよく用いられます。LIBORの最大の特徴は、LIBORとは大手銀行が提示した「オファー・レート」に基づく、いわば指標金利である点です。「オファー・レート」は実際に取引に基づいた金利ではなく、各銀行が貸出をする場合、金融機関が「提示した金利」であって、その水準で投資家や借り手が取引を行うかはまた別の話です。相対取引における特定の時点の価格取得の難しさを考えれば、投票のような形でLIBORを定めることは自然に図2 LIBOR算出方法のイメージ1-(2)LIBORの算出方法等リファレンス・バンク(パネル行)A銀行B銀行C銀行LIBOR運営機関通貨毎(ドル、ポンド、ユーロ、スイスフラン、円)に指定される、取引の有力な市場参加者たる世界の主要銀行日本の金融機関 : 3メガバンク及び農林中央金庫レート呈示毎営業日ロンドン時間の午前11:00時点で、各行がロンドンのインターバンク市場において、無担保で資金調達する際の市場実勢と考えられるレートLIBOR算出・公表LIBOR利用者/LIBOR参照金融商品・取引~2013年:英国銀行協会(BBA)※銀行業界の自主規制団体2014年~:ICE(インターコンチネンタル取引所)BenchmarkAdministration(IBA)呈示レートを集計し、上下25%を除いた残り50%の呈示レートを平均することによりLIBORを算出毎営業日ロンドン時間の午前11:55頃に公表利用者:銀行、保険会社、ノンバンク、取引所、事業会社、アセットマネージャー、ファンド等金融商品・取引:貸出、債券、預金、デリバティブ、証券化商品等資金調達資金調達インターバンク市場無担保無担保•レート(金利)を呈示する銀行である「リファレンス・バンク」(または「パネル行」とも呼ぶ)が、ロンドンのインターバンク市場において、無担保で資金調達をする際の市場実勢と考えられるレートを、LIBOR運営機関に呈示。•LIBOR運営機関は、呈示のあったレートを、一定の算出方法に基づき算出・公表。•LIBORは、多くの金融商品・取引で参照されており、その利用者(関係当事者)も多岐にわたる。出所:金融庁資料より抜粋図3 LIBORリファレンス・バンク(パネル行)一覧33リファレンス・バンク(パネル行)本店所在国米ドル英ポンドユーロスイスフラン日本円アメリカ●イギリス●●●●●ユーロ●アメリカ●●●●ユーロ●●●ユーロ●●スイス●●●ユーロ●●●●●イギリス●●●●●アメリカ●●●●●イギリス●●●●●みずほ銀行日本●●●三菱UFJ銀行日本●●●●●イギリス●●●●●カナダ●●●アメリカ●●ユーロ●●●●(欧州)三井住友銀行日本●●農林中央金庫日本●●スイス●●●●●行行行行行出所:金融庁資料より筆者作成14 ファイナンス 2021 Nov.SPOT

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