ファイナンス 2021年10月号 No.671
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(3)既視感その3【とあるダンス教室で】プライベートな場面でも、コミュニケーションは出来るだけ丁寧にすべきだと思う。特にエイゴは国際語と言われ、日常に溢あふれているが、よく耳にする簡単な単語だからとアバウトに使っては良くないと実感する出来事に出くわした。筆者の趣味は社交ダンスで、特にLatin America、Blazil発祥のSambaが好きで、かれこれ20年の長期で練習を継続しており、プロも混じるプロアマの全日本戦(All Japan Professional and Amateur Mixed Competition)に出場し、ノービス級で優勝*17を果たしたこともある。しかし、長年経験を積み実績も出した得意のSambaですら、Native Speakerに伝えにくいWordがあることを、つい先日知った。それはサンバロック(Samba Lock)だ。日本語のカタカナで書くとLockもRockもロックだぜぇ、日本人ワイルドだろう矢沢さんよぉ内田さんよぉ、というTake It Easyなノリは気をつけた方が良いかも知れない。先日とあるダンス教室でSambaの練習中、筆者の隣でNative Speakerと日本人がやや口論になっており様子を伺うかがっていたところ、そのNative Speakerは“Samba Lock? or Rock?”と、日本人の発音(と、その意図)を理解できず、コミュニケーション不全が起きていた。せっかく軽けい快かいなSamba musicの流れる教室内も、Lockだ?Rockだ?と、軽快から警けい戒かいな雰囲気に変わってまった(ここは、監かん獄ごくjailだろうか)。簡単な言葉だと侮あなどって使ってはいけない事例といえよう。ダンスと同様、言語そしてコミュニケーション能力の習熟には、弛たゆまぬ努力が必要なのだと心に刻んだ場面であった。終わりなきLonger-Run Goalへやや長いIce-Breakになってしまったが本稿の結びに入る。筆者は日頃、経済指標分析などを担当していると、つい、そこにある用語や数字を、単なる情報として深く考えず都合良くあるいはいい加減に利用してしまうことがあるが、それは担当者として、未熟なことの証しょう左さなのかも知れない。何故なら、経済は人類の活動によって*17) プロアマ戦の優勝および本稿の執筆にあたって、露口美咲先生には多大なご指導とご協力をいただいたことへの感謝を、ここに記したい。*18) ジャクソンホールシンポジウム(例年8月に実施)でのパウエル議長の講演に注目している。*19) (出典・参考文献等)Fed、米・労働省、米・商務省、SMBC日興証券、国際通貨研究所、BNP PARIBAS、アメリカ連邦準備制度(FRS)の金融政策(田中隆之)、各種レポート、各報道等生まれる枝えだ葉はであるが、その人類の活動を支えてきた根こん幹かんは、何より良質な言語・コミュニケーションであったと、人生の先輩や偉人たちを見ていて感じるからだ。さて、筆者と息子(小5)が汗だくで駆け抜けた10kmのLonger-Runの日々は、いつかゴールを迎え、熱かった夏の日の遠い思い出となってゆくのかも知れない。ただ、筆者としては、これからも情熱を絶やさず、簡潔、適格で、比喩を使ってイメージしやすく、かつ前向きになれるような言葉や情報を社会に発信し後生に残してゆきたいと思う。引き続き、心に炎ほむらを灯ともして、米国経済情勢およびパウエル議長の発言*18等に注目してゆきたい。(本稿を最後までお目通しいただいた皆様、寄稿にあたってご協力いただいた職場の同僚および筆者の家族への感謝を、ここに記したい。そしてこの10月15日に70歳(古希)となる、父(則雄)へ、Happy Birthday!)。図表(6):サンバ写真「Happy End? No. Happy Mind!」筆者の情熱を込めたサンバが南風となり、海を越え多くの人へ、そして貴方の心へ届いてほしい。(注) 文中、意見に係る部分は全て筆者の私見であり、ありうべき誤りは全て筆者に帰する。(出典・参考文献等)*19 ファイナンス 2021 Oct.41コラム 海外経済の潮流 136連載海外経済の 潮流

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