ファイナンス 2021年10月号 No.671
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国立印刷局では、国民生活に不可欠な日本銀行券、旅券、証券等様々な製品を製造しているが、これらの製品の製造工程の最上流を担うのは、国立印刷局の製品設計部門に在籍する高度な技術と芸術的なセンスを持った「工芸官」である。工芸官の業務内容は、専門分野別に「製品デザイン部門」「彫刻部門」「線画デザイン部門」及び「すき入れ部門」に分かれ、これら4部門の技術を結集することにより精密で優れた製品設計が完結する。今回の改刷でも、工芸官の方々は中核的な役割を果たしている。この場を借りて感謝申し上げたい。1 製品デザイン部門デザインの際に必要な素材を集め、製品の特徴や関係部門の要望を踏まえて、サイズ、色数、印刷方式、盛り込む偽造防止技術等を考慮しながら、製品にふさわしい図柄を精緻に描く。2 彫刻部門印刷用版面の大元となる原版を彫刻する。銀行券の肖像部分の原版は、「ビュラン」という特殊な彫刻刀を用いて金属板上に点や線を一本一本、手で彫刻して作製する。俗に「針研ぎ3年、描き8年、ビュラン(美蘭)咲くのは18年」と言われるほど、習得には長期間の訓練が必要とされる。3 線画デザイン部門日本銀行券等の背景を彩る地紋模様・彩紋模様と呼ばれる特殊な模様を、最新のコンピュータ技術を使って描く。4 すき入れ部門国立印刷局が開発した独自のすき入れ技法により、すき入れ用紙を製造するための基本設計を行う。製品デザイン部門彫刻部門線画デザイン部門すき入れ部門コラム 工芸官の仕事紹介 ファイナンス 2021 Oct.13新日本銀行券印刷開始式についてSPOT

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