ファイナンス 2021年10月号 No.671
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3新日本銀行券肖像コンテ画贈呈式この印刷開始式に先立つ8月26日、財務省において、新日本銀行券の肖像コンテ画贈呈式が行われた。これは、新しい日本銀行券の肖像となる人物(一万円券:渋沢栄一、五千円券:津田梅子、千円券:北里柴三郎)に敬意を表し、国立印刷局の工芸官が銀行券の肖像を彫刻するために制作したコンテ画を各々の直系卑属にあたる方々に贈呈したものである(工芸官については、文末コラム参照)。冒頭、伊藤財務副大臣から「財務省は今後も日本銀行券の偽造抵抗力強化と利便性向上に努め、わが国通貨制度の安定と信頼に尽力していく」と挨拶があり、また、岸本国立印刷局理事長からはコンテ画及び工芸官についての紹介が行われた。最後に、受贈者の方々からの感想をいただき、初めての試みであるコンテ画贈呈式は大変盛況のうちに終えた。4新しい日本銀行券の特徴ここで改めて、今般の改刷のポイントである高度な偽造防止技術とユニバーサルデザインについて、新しい日本銀行券の具体的な特徴を紹介したい。(1)偽造防止技術現在発行されている日本銀行券にも高度な偽造防止技術が採用されているが、その精度をさらに高める工夫を施している。主な変更点は、最先端技術を用いた「高精細すき入れ」(すかし)及び「3Dホログラム」の2つである。高精細すき入れについては、肖像のすき入れに加え、その背部に緻密なすき入れ(和柄の格子模様)を施している点が特徴である。3Dホログラムについては、角度を変えると肖像の顔の向きが連続的に変わる仕組みになっており、銀行券への導入は世界初となる技術である。ホログラムの形態も、一万円券と五千円券ではストライプ型(帯状)となるほか、新たに千円券にもホログラム(パッチ型)が採用され、これによ高精細すき入れ3Dホログラム肖像のすき入れの背部に緻密なすき入れ模様左に傾けると右に傾けると写真3写真4 ファイナンス 2021 Oct.11新日本銀行券印刷開始式についてSPOT

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