ファイナンス 2021年10月号 No.671
14/94

1はじめに財務省では、2019年4月に、新しい日本銀行券を2024年度上期を目途に発行開始することを公表した。日本銀行券については、これまでも概ね20年毎に改刷を行ってきたところであるが、現在流通している日本銀行券が2004年の発行開始から20年近くが経過する中、民間の印刷技術は大幅な進歩を遂げている。また、世界的にもヨーロッパやアメリカなどの諸外国で最新の偽造防止技術を搭載した銀行券が順次発行されていることに加え、目の不自由な方や外国人等に配慮したユニバーサルデザインの考えに基づく銀行券デザインが主流となっている。これらを踏まえ、今回の改刷では、偽造抑止効果が高く誰もが使いやすい銀行券を目指してデザインを一新することとしたところである。今般、新しい日本銀行券の製造を行う独立行政法人国立印刷局での新一万円券の製造準備が整ったことから、2021年9月1日、同東京工場(東京都北区)において、新型コロナウイルス感染症対策を講じた上で「新日本銀行券印刷開始式」が開催され、新一万円券の製造が開始されるとともに、今後製造準備を進めていく新五千円券及び新千円券についても披露された。2式典の模様式典には、麻生財務大臣、黒田日本銀行総裁、伊藤財務副大臣、中西財務副大臣、船橋財務大臣政務官及び元榮財務大臣政務官等が来賓として参列した。国歌静聴に続く麻生財務大臣の挨拶では、「日本の通貨は、日本銀行、造幣局、国立印刷局、財務省等の努力の成果により立派に作り上げられてきた。新一万円券の顔である渋沢栄一に縁のあるこの地で印刷を開始できることになったことを心から喜んでいる。」といった思いが述べられた。続いて、新一万円券の印刷開始を記念するテープカットが行われ(写真1)、その後、麻生財務大臣により番号印刷機の始動ボタンが押されると(写真2)、会場横の印刷機が始動し、記番号が印刷された新一万円券の大判(1枚に20面が印刷されたシート)が刷り上がり、麻生財務大臣により製品確認が行われた(黒田日本銀行総裁が立ち会い)(写真3・4)。新一万円券の製品確認に続いて新五千円券及び新千円券のデザインが披露された後、黒田日本銀行総裁及び岸本国立印刷局理事長から挨拶があり、厳粛な雰囲気の中で式典は終了した。理財局国庫課長 西方 建一/国庫課通貨企画調整室長 堀納 隆成新日本銀行券印刷開始式について写真1写真210 ファイナンス 2021 Oct.SPOT

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る