ファイナンス 2021年9月号 No.670
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各地の話題1はじめに合同宿舎輪島宿舎は、石川県北部の輪島市に所在し、世帯・独身・単身用宿舎2棟約50戸を備える市内唯一の合同宿舎です。今回は、この輪島宿舎について、コロナ禍で変化する地域・社会のニーズを捉え、有効活用を図った事例について紹介します。輪島市の位置2行政財産の使用許可の取扱い行政財産である国の庁舎・宿舎については、国有財産法で「その用途又は目的を妨げない限度」において使用・収益を許可(以下、「使用許可」という。)することができるとされています。しかし、国家公務員宿舎の居室の使用許可については、被災者向けの応急的な住まいなど限定的な用途での活用に留まっていました。そのようななか、令和元年6月の財政制度等審議会国有財産分科会答申において、行政財産について地域・社会のニーズに応じた一層の有効活用を図るとの方向性が示されたことから、同年9月に使用許可に関する通達が改正され、国家公務員宿舎の居室についても、地域の課題解決に資する場合については使用許可を行うことができるようになりました。3輪島市からの要望等北陸財務局においては、官署の統廃合によって入居者が減少しているものの、廃止が難しい輪島宿舎について、有効活用を図ることで地域・社会のニーズに応えたいと考え、令和元年11月に石川県及び輪島市に対し、輪島宿舎の空き住戸を活用可能財産として情報提供したところ、輪島市より移住等の需要対応に向けて使用したいとの要望を受けました。輪島市においては、以前から積極的に移住・定住促進に向けた取り組みが進められており、当局も県外からの移住者を受け入れるための移住促進住宅として平成27年9月に輪島宿舎1号棟(世帯用宿舎)を売却した実績があります。輪島市は、この宿舎を改修し、平成29年に移住促進住宅として供用を開始して以降、ほぼ満室の状況が続いていることなどから、更なる移住等の需要対応を行うため、上記要望を行ったものです。当局は、輪島市からの要望を受け、合同宿舎の需給状況を整理した上で本省理財局とも調整を行った結果、令和2年3月に輪島宿舎2号棟の世帯用宿舎4戸を対象として、輪島市を使用許可の相手方として決定しました。合同宿舎輪島宿舎の有効活用~コロナ禍で変化する地域・ 社会のニーズを捉えた地域貢献~北陸財務局管財部管財総括第二課 国有財産総括専門官川村 葉子輪島市 ファイナンス 2021 Sep.87連載各地の話題

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